東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

ユーチューバー 商品PR動画 浸透中 関連ビジネス 企業が熱視線

玩具大手タカラトミーと協力して作成した動画で、育成型人形のおもちゃ「ウーモ」を紹介する人気ユーチューバーのヒカキンさん=ユーチューブより

写真

 動画投稿サイト「ユーチューブ」に動画を定期的に投稿する「ユーチューバー」に関連したビジネスが拡大している。社会への発信力が増していることから、企業が広告料を提供して商品をPRしてもらうタイアップ(提携)動画も増えてきた。企業の広告依頼の増加を受けて、ユーチューバーとの橋渡し役を担う企業も生まれ、業績を伸ばしている。(吉田通夫)

 「本当に生まれるのかな」。人気ユーチューバーのヒカキンさん(28)が育成型の人形「ウーモ」を卵からかえして育てる様子を伝えている。1年前に製造元の玩具大手タカラトミーと協力して作ったPR動画だ。同社の広報担当者は「動画は公開から4日で300万回も再生され、売り上げが増えた。ユーチューブを見る子どもたちが増えており、広報での活用方法は検討し続けている」と話す。

 ヒカキンさんはスーパーマーケットの社員だった2010年に、口から打楽器のような音を出す「ヒューマンビートボックス」の動画をユーチューブに投稿し、注目を集めた。12年には会社を辞め、動画の投稿を通じた広告料収入で生活する道に。購入した商品の紹介など動画の幅を広げてきた。固定視聴者である「チャンネル登録者数」は計820万人にのぼり、愛知県民(752万人)を上回る。

 ほかにも550万人超が登録する「はじめしゃちょー」さんら、ユーチューバーの発信力は増している。食品、化粧品などあらゆる分野の企業が動画作成を依頼するようになり、企業とユーチューバーを橋渡しする企業も生まれた。

 13年に創業し今年8月に東証マザーズに上場した「UUUM(ウーム)」もその一つ。多くの人気ユーチューバーと専属契約を結び、企業や広告代理店と相談しながら紹介。例えばおもちゃをPRするなら子どもが多くチャンネル登録するユーチューバー、化粧品なら女性が多い動画作成者、といった具合だ。

 海外へのPRを狙う企業向けに、外国人ユーチューバーを紹介する企業もある。「YUMMY JAPAN(ヤミー・ジャパン)」は海外の同業者とも提携し、23カ国2万人以上のユーチューバーを紹介する。担当者は「海外から旅行者を呼び込みたい地方自治体や宿泊施設などから依頼が増えている」と話した。

 ユーチューバーが作る動画の内容は、企業から資金を受けていても「ユーチューバー側に任せる」(ウームの市川義典執行役員)のが一般的。このため動画作成者の本音が混じった「口コミ」のようになることも。化粧品を紹介する動画を見て買い物をするという都内の大学4年高橋純菜さん(22)は「テレビCMや雑誌広告は商品の良い点しか紹介しないが、ユーチューバーは悪い点にも触れるので参考になる」と言う。また「一般的な口コミサイトは匿名の投稿なので企業が正体を隠して良い点ばかりを書き込む心配があるけど、ユーチューバーは顔を見せて説明しているので信頼度が上がる」。

 ウェブマーケティング会社「カティサーク」の押切孝雄社長は「若いスマホ世代にとってユーチューブはテレビ以上に手軽に視聴でき、ユーチューバーの影響力もタレント並みに大きい」と分析。ただし「今はユーチューブのブームとも言える状態なので、これから視聴者が減っていく可能性もある」と指摘した。

<Q&A>どうやって収入得るの

視聴1回で広告料0.1円前後

 「ユーチューバー」とは、個人で動画を撮影して発信し、広告収入を得る人たちです。アイデア次第で稼ぎ、有名にもなれる夢のある職業ですが、動画を目立たせようとするあまり社会問題も起きています。

 Q ユーチューバーって何ですか。

 A 米グーグル社が運営している「ユーチューブ」というインターネット上のサイトに、頻繁に自作の動画を投稿する人たちのことです。日本でも二〇一二年ごろから増え始めました。特に十代に人気で、中学生の「将来なりたい職業」にもランクインしています。

 Q なぜ増えてきたのでしょうか。

 A 手軽に稼げるという側面があります。投稿した動画には、グーグルが企業から受注している広告を挿入することができ、視聴されるごとに投稿者に広告収入が入ります。額は広告の種類や視聴者数などによって複雑に異なりますが、一回視聴されるごとに〇・一円前後と言われます。人気の動画は数百万回も再生され、一本の動画で数十万円を稼げる計算です。中には動画の投稿だけで生計を立てたり、有名になってイベントに出演するなど芸能人のように活動する人もいます。

 Q だれでもユーチューバーになれますか。

 A 生計を立てられるほど多くの視聴者を集め続けるのは簡単ではありません。このため目立とうとして行きすぎるケースもあります。福井県では九月に、夫婦が警察官の目の前で砂糖を落として覚醒剤と間違えさせる動画をつくり、偽計業務妨害の疑いで逮捕されました。「客寄せ」のため動画の内容が過激になったり、著作権で保護された画像や動画を流用したりする悪質な事例が後を絶ちません。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報