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【経済】

日産「38年前から不正」 無資格検査 国交省に最終報告書

無資格検査問題の報告書を国交省に提出し、記者会見で頭を下げる日産自動車の西川広人社長(左)ら=17日、横浜市の本社で

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 日産自動車は十七日、新車の無資格検査問題について、原因調査の結果や再発防止策をまとめた最終報告書を国土交通省に提出した。不正は、栃木工場(栃木県上三川町)では三十八年前の一九七九年から行われた可能性があり、九〇年代からは国内全六工場のうち五工場で常態化していたことを認めた。不正の背景については、資格がある正規検査員の人員不足などを挙げた。

 横浜市西区の本社で会見した西川(さいかわ)広人社長は冒頭、「一連の不祥事で信頼を裏切ることになり、深くおわびを申し上げる」と謝罪。十月から来年三月まで月額報酬の一部を自主返上することも明らかにした。しかし、金額や他の役員が返上するかどうかは明らかにしなかった。

 報告書では、無資格検査が常態化した原因について、正規検査員の人員不足のほか、正規検査員の多くが違反を認識し、現場の係長級の職員も知っていたが、本社や工場の管理職が把握していなかったことを指摘。「完成検査に対する管理者層の意識の薄さ」が、検査員の規範意識の低下を招いたことも一因だと結論付けた。国内全六工場のうち、グループのオートワークス京都(京都府宇治市)では、不正は確認されなかった。

 また、工場では長年にわたり、国交省の定期監査を受ける日に限り、現場監督の指示で無資格者を完成検査の工程から外し、不正の発覚を免れていた。九月に行った国交省の立ち入り検査では、事実と異なる説明をしたり、関係資料の一部を削除したりするなどの隠蔽(いんぺい)行為があったことも明らかにした。

 検査員を認定する社内試験では、問題と答案を一緒に配ったり教材を見ながら受験させたりするなどの不正があったことも記した。

 再発防止策として、正規検査員を八十人以上増やしたり、検査スペースの出入りを顔認証で管理することなどを盛り込んだ。

 国交省は報告書を踏まえ、刑事告発も含めた対応を検討する。

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◆増産で検査員不足/管理職と現場に壁

 日産自動車がまとめた無資格検査問題の最終報告書では、一連の問題の原因を調査した弁護士チームが、生産体制の変更や雇用抑制で人手不足となり、不正の横行につながった現場の状況を明らかにし、日産の経営陣を厳しく批判した。

 弁護士チームの報告では、追浜工場(神奈川県横須賀市)など、各工場で正規検査員が「ぎりぎりの人繰りを余儀なくされている」と指摘した。追浜では昨年、小型車「ノート」の生産が移管されて繁忙になり、昼のみの勤務が昼夜体制になって検査員が不足。無資格検査の横行につながったとした。

 栃木工場では、一九九〇年代末から検査員候補となる正社員の雇用を抑えたため三十〜四十代の働き盛りが少なく、「検査員の空洞化」が生じた。その他にも「『コストがかかるから人員を削減しろ』と言われ、無理やり人を減らした」などの声が現場から上がったとした。

 また、日々の業務が現場任せで、役員や工場幹部らが不正を把握していなかったことに対し、その責任は「極めて重い」と批判した。正規検査員も人員不足の改善を求めず、無資格検査を隠していたことも明らかにした。

 これに対し、西川社長は会見で、内部通報制度が機能せず、組織の風通しが悪いと認めた上で、「(管理職と)現場との壁があり、目標が独り歩きすることもある。この問題がこれまで出なかったのは大きな反省だ。問題が顕在化しやすい形にリーダー側を変えねば、同じ問題が今後も起きる可能性がある」と述べた。

 しかし西川社長は、この日も姿を見せなかったカルロス・ゴーン会長が目標達成を掲げ、効率を重視する経営手法が不正の原因になったとの指摘を否定した。「(無資格検査が)常態化したのは、ゴーン氏の社長就任前。人数不足が顕在化するのはいろんな要素があるが、それ(ゴーン氏の経営)が原因とは言えない」と強調した。 (中沢佳子)

 

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