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【経済】

税制改正 与党、新「目的税」検討 専門家、安易な増税警鐘

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 与党による二〇一八年度税制改正の議論が二十二日から本格化するのを前に、森林整備に使う「森林環境税」と、日本から海外に出る人に課す「観光促進税」の二つの新税創設が浮上している。財政が厳しい中で新たな財源を確保するのが難しいためだが、使い道を限定する特定財源は、無駄遣いの温床として問題となってきた。十月の衆院選で圧勝したことで、国民に新たな負担を求めることに与党の抵抗感が薄れている。専門家は、いわゆる目的税の形で安易な増税をすることに警鐘を鳴らしている。 (白山泉)

 森林環境税は、間伐などの森林整備や木材利用の推進といった森林保全に活用する。課税対象として有力なのは、住民税を納める約六千二百万人から年間千円を徴収する案だ。

 昨年の与党税制改正大綱で創設する方向が示され、「地球温暖化防止や国土の保全など、国民一人一人が恩恵を受ける」として「国民に等しく負担を求める」と説明している。しかし、森林が少ない都市部では反対の意見もあり、「公園整備などに使途を広げるべきだ」などの声が出ている。

 観光促進税は、訪日外国人のほか日本人を含む出国者が負担する。航空券代に上乗せして徴収する案が有力だ。昨年の出国者は約四千百万人。出国者から一律千円を徴収すれば約四百億円の税収になり、一七年度の観光庁の当初予算の二倍の額が得られる。

 観光庁が今月まとめた中間報告では、使い道は「高次元な観光施策の実行」と曖昧だ。観光プロモーションや案内板の多言語表示などが想定されるが、どれだけの効果があるかは十分に検証されていない。

 いずれの税も詳細な制度設計はこれから。だが特定財源は、予算が余っても「使い切らないと損だ」と、無駄遣いが生まれやすい。揮発油(ガソリン)税などの「道路特定財源」は、無駄な道路がつくられ続けたことで批判が大きく、〇九年に使い道を定めない一般財源となった。

 立教大の関口智教授(租税論)は「本当に必要な施策があるなら、新税を創設する前に優先順位に沿って通常の予算を組み替えて実施するのが筋だ」と指摘。安倍政権が法人税を減税した一方で、消費税増税や所得税改革は遅れていることを踏まえ、「基幹税の議論から逃げ、特定の目的のために税を取るという説得の仕方をするのは政治の怠慢だ」と話している。

<特定財源> 特定の使い道に充てる税などの歳入。使い道を限定しないものを一般財源という。特定財源には、税法で使途を特定する目的税や、特別会計法で使途を特定するものなどがある。道路特定財源での道路使用者など恩恵を受ける人が負担する分かりやすい面もあるが、集めた税収を使い切ろうとするため、無駄遣いが生まれやすい。

 

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