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【経済】

激震続く素材産業 三菱マテ子会社 不正承知で出荷

製品検査データ改ざん問題について記者会見する三菱マテリアルの竹内章社長(中)と小野直樹副社長。(右)は三菱電線工業の村田博昭社長=東京都千代田区で

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 三菱マテリアル子会社による製品検査データ改ざん問題で、子会社の一つ、三菱電線工業(東京)が、製品の検査データが改ざんされた可能性を承知しながら、顧客企業への出荷を続けていたことが二十四日、分かった。ずさんな品質管理体制が鮮明になった。三菱マテリアルの竹内章社長らは東京都内で記者会見し謝罪した上で、品質問題がほかにも存在しないか確認するため、グループ全事業所の臨時調査を実施していると表明した。

 三菱電線と三菱伸銅(東京)の二子会社には、社外の弁護士らで構成する委員会をそれぞれ設置した。年内をめどに調査の状況を公表する。三菱電線の村田博昭社長は、問題を把握した今年二月以降、「不具合があるかもしれないと認識しながら出荷を続けていた」と認めた。

 三菱マテリアルの竹内社長は、別の子会社の三菱アルミニウム(東京)が顧客の求める品質や社内基準を満たさない不適合品を十六社に出荷していたことも明らかにした。安全性の確認は終了しているという。

 竹内氏は一連の不正に「親会社の関与は全くなかったと考えている」と述べた。十月下旬の問題把握から公表が約一カ月後になった理由は「対象顧客が全て判明してから公表すべきだと判断した」とした。

 三菱電線は水漏れなどを防ぐシール材(パッキン)でデータ改ざんが見つかった。三菱アルミを含めた子会社三社の問題製品の出荷先は計二百七十四社に上る可能性がある。

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◆経営多角化 統治利かず

 三菱マテリアル子会社の検査データ改ざんが発覚し、神戸製鋼所に続き経営多角化で企業統治が利かない実態が露呈した。高度成長期から日本の製造業を支えてきた素材産業のメッキが剥がれ「ものづくり日本」の信頼は大きく揺らぐ。

 「事業ごとに一定の権限を与え自立的に機能しているが、組織の壁が高くなっている」。三菱マテリアルの竹内章社長は記者会見で、不正を働いた子会社から情報が上がってこなかった背景に言及した。

 三菱マテリアルは鉱山経営で日本の近代化を担った三菱鉱業が前身だ。戦後の財閥解体で分離した金属、石炭の両部門をそれぞれ引き継いだ三菱金属と三菱鉱業セメントが、一九九〇年に合併して誕生した。

 現在の組織はセメントや金属といった事業別の「カンパニー」に分かれる。企業内にいくつも「会社」がある形態で経営陣がグループ全体を見渡すのが難しい。この点で同じくデータ改ざんが発覚した神戸製鋼の多角化経営と似ている。

 不正は業界にまん延する氷山の一角ではないか−。世耕弘成経済産業相は二十四日の記者会見でこうした疑念を払拭(ふっしょく)するため「問題を産業界全体で共有することが重要だ」と強調した。

 「日本の製造業の『匠(たくみ)の精神』が再び踏みにじられた」。中国メディアがこう論評した三菱マテリアルは昨年、戦時中の鉱山での強制連行を巡り中国の被害者団体と和解に踏み切った。好意を持って受け止められただけに、品質面でのイメージ悪化は手痛い。

 カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリストは「デフレの二十年間、無理をして固定費を切り詰めてきた結果」と指摘。「日本の大企業が新たな不正」と報じた米CNNテレビは、神戸製鋼や無資格検査問題の日産自動車といった一連の不祥事に触れた上で「世界がうらやむ卓越した技量を備えていた『日本株式会社』が揺れている」と分析した。

 

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