東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

東レ子会社が検査偽装 タイヤ部材 149件、13社に出荷

謝罪する(左から)東レの日覚昭広社長、梅田明専務と東レハイブリッドコードの鈴木信博社長=28日午前、東京都中央区で(木口慎子撮影)

写真

 東レは二十八日、全額出資する子会社「東レハイブリッドコード」(愛知県西尾市)で、タイヤなどに使われる製品で検査データの改ざんがあったと発表した。改ざんは百四十九件にわたり、不正のあった製品はタイヤメーカーや自動車部品メーカーなど十三社に出荷されたという。東レは問題を二〇一六年七月に把握していたが、一年以上発表しなかった。

 東レは経団連の榊原定征(さだゆき)会長の出身企業で、改ざんは榊原氏の社長、会長時代に重なる。神戸製鋼所や三菱マテリアル子会社に続く検査データ改ざんの発覚で日本のものづくりへの信頼はさらに揺らぎそうだ。

 改ざんしていたのは「タイヤコード」といわれるタイヤの繊維補強材などのデータ。東レによると、改ざんは納入先との間で取り決めた規格値から外れた製品について、規格値内に収まるようデータの書き換えを行っていた。不正の時期は〇八年四月から一六年七月までで、この期間に品質保証室長を務めていた二人が検査成績書作成を承認する段階で書き換えていたという。

 東京都内で記者会見した東レの日覚(にっかく)昭広社長は「大変なご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ない」と陳謝した。東レは改ざんの動機について「煩雑な作業をしたくないという理由などから承認を得ず検査データを修正し出荷していた」と説明。製品の性能や安全上の問題はないとしている。

 東レは一六年七月の社内アンケートで改ざんを把握したが、「納入先との問題なので公表する必要がない」(日覚社長)と判断したという。今月三日、インターネット上で不正を指摘する書き込みがあったことから、公表に踏み切った。

 日覚社長は記者会見でも、公表しなかったことについて「法令違反がなければ問題はない」「一般に公表する必要はない」などの考えを示した。

写真

◆経団連会長出身企業でも

 東レは経団連の榊原定征会長を輩出した名門企業。神戸製鋼所や三菱マテリアルでデータ不正の不祥事が相次いでいる中、榊原氏は一連の問題を受けて会員企業に法令順守の徹底を呼び掛けており、今後厳しい批判を浴びるのは免れない。

 「日本の代表的な企業がこうした不正を行ったことは極めて残念」。神戸製鋼などの一連の不祥事を受け、榊原氏は二十七日の記者会見で強く指摘した。その上で「日本のものづくり、とりわけ製造業が深刻な事態になっている」との厳しい受け止め方を示した。

 経団連は「企業行動憲章」を定めて、企業に対して責任ある行動をとるよう提唱している。榊原氏は不祥事を起こした各社が再発防止策を講じていることに言及し、「憲章の中で、各社がコンプライアンス(法令順守)を守り、実効性ある企業統治を発揮していくことを強く求めていく」と念押ししていた。

 その翌日に出身企業でもデータ改ざんが発覚するという事態に、経団連には動揺が広がっている。榊原氏の任期は残り約半年。だが、会長としての進退が問われる事態になりそうな情勢だ。 (編集委員・中沢幸彦)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報