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【経済】

消費者軽視あらわ データ改ざん各社公表後ろ向き

東レ、ネットの書き込み契機

識者「安全性主張は企業の論理」

 東レは二十八日、子会社で製品の検査データの改ざんがあったと発表した。公表はインターネットへの書き込みがきっかけで、当初は自発的に公表するつもりはなかったという。同様に検査データの改ざんがあった神戸製鋼所や三菱マテリアルも「企業間取引」を理由に不利益な情報の開示には後ろ向きだった。不正を公表した各社首脳の姿勢からは、最終的に製品を買う消費者に対する意識がほとんど感じられないのが実態だ。 (木村留美)

 「(不正に関する)ネットの書き込みに、問い合わせもあったので公表したほうがいいと考えた」。二十八日の記者会見で、東レの日覚(にっかく)昭広社長は「安全上の問題や社会への影響がない」ことを理由に、データ改ざんを公表しなかったと説明した。

 日覚氏は「今も公表の必要がなかったと思っているか」と問われても「基本的にそう思っている」と回答。この日、問題になった製品はブリヂストンと横浜ゴムのタイヤに使われていたことが判明したが、今後、別の不正が発覚した場合でも「納入先と話し合って問題がなければ公表しない」と話した。

 東レ同様、神戸製鋼や三菱マテリアルも不正の公表までに長い時間をかけた。三菱マテリアルは子会社の三菱アルミニウムの不正について「全ての顧客との間で安全性の確認は終了している」と主張し、具体的な改ざんの内容や時期などを伏せた。神戸製鋼も、どのような製品に自社の出荷品が使用されているかなどについて、ほとんど説明しなかった。

 こうした企業の姿勢や主張を企業コンプライアンス(法令順守)に詳しい青山学院大大学院の八田進二教授は「企業側の論理にすぎない」と指摘する。「企業同士の契約でも最終的に製品を手に取るのは一般消費者。契約通りの製品を提供していない実態を直接の利害関係者でない人にも広く公表していく社会的責任が企業にはある」と話す。

 さらに八田氏は神戸製鋼など不正を働いた企業が軒並み「安全が確認できた」と主張していることについても「食品偽装に置き換えれば、賞味期限切れの食品を売っても、食べた人が体調を崩さないから問題ないと販売し続けているようなもの」とあきれる。

 今回の検査データ改ざんは現在、東レ相談役で経団連会長の榊原定征(さだゆき)氏が東レで社長、会長を務めた時代に行われた。榊原氏は今後、現経営陣とともに責任を問われる可能性がある。

 東レの不正が発覚する前の二十七日の記者会見で榊原氏は、三菱マテリアルで情報開示が遅れたことに対し「本来あるべき姿としては発覚した時点で可及的速やかに公表するのが原則」と述べていた。東レから榊原氏に自社の不正が伝えられたのは、この発言の後だったという。

 

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