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【経済】

公立中の制服 高値是正を 9年で5000円値上がり

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 公正取引委員会は二十九日、公立中学校の制服取引に関する調査結果を発表した。二〇一六年の平均販売価格は男子用で三万三千円と〇七年に比べて五千円上昇。長年にわたり制服メーカーの指定見直しなどを行っていない点が背景にあると指摘した。山田昭典事務総長はこの日の記者会見で学校側に「安価で良質な制服を買えるような対応をしてほしい」と要望。今後も制服取引の動向を注視するとしており、学校側が見直しに動く可能性がある。

 調査によると、一六年の女子用の平均販売価格は三万二千円で、男子用と同じ五千円の値上がり。制服メーカーを指定している割合は21・3%で、そのうち多くの学校が一社に限定。同じメーカーへの指定を続けている理由がはっきりせず、慣例に従っているケースが多かったという。

 指定販売店などを定期的に見直していない学校も83・6%。調査では販売店が増えると、価格が下がる傾向にあることも明らかになったという。

 公取委からの提言では学校が制服の取引に関与することで、価格を抑えられると強調。具体的には、学校が制服メーカーを選定する際にコンペや入札を導入したり、制服を取り扱う販売店の数を増やしたりすることを求めた。公取委は調査結果を全国の学校関係者に周知する。調査は全国の六百校を対象に、昨年十二月から今年七月にかけて実施。四百四十七校から回答を得た。

◆「夏冬で10万円」の例も

 公立中学校の制服が高いとして、公正取引委員会が業者間競争を促す異例の提言をした。特定のメーカーの「指定席」になっていたり、個性を出そうと凝ったデザインが増えていたりすることが高価格の背景。年収が伸び悩む子育て世代には痛い出費だ。一方、少子化が進む中、手間の掛かる注文の増加や材料費の高騰で業者も苦境に立たされている。

▽私立並み

 「夏用、冬用一式で十万円近かった」。中学三年の娘がいる東京都内の自営業の男性(39)は驚く。息子の制服を買った都内の主婦(49)は「公立なのに私立と変わらなかった」と話した。

 学校によってはブランド品とそうでないものを選択させているというが「みんなブランドの方を買う。安いほどいいのに」(徳島市の三十代の女性)との声もあった。

 制服は卒業すると使い道がない。長崎市のNPO法人「フリースクールクレイン・ハーバー」はそういう制服を引き取り、欲しい人に無償で提供するリサイクル事業を運営している。中村尊代表によると「ひとり親家庭や生活保護世帯の利用が多い。大人のスーツより高価で、なかなか新品を買えないという親御さんが多い」という。

 全国平均の制服の販売価格は二〇〇七年からの九年間で五千円上昇した。制服は学校単位でメーカーに製作を依頼する形が定着している。公取委の調査では、特定の業者一社が指定され競争原理が働いていないケースや、学校が価格決定に関与せず業者任せにしているケースが散見された。

▽ブレザー人気

 さらにブレザーを採用する学校が増えたことも影響している。ブレザーは詰め襟やセーラー服よりデザインの自由度が高く、学校側が凝ったものに走りがちだ。その分価格が高くなるが、生徒や保護者には「かっこいい」と人気が高い。

 複雑化する注文にメーカー側も苦労している。あるメーカーは「対応能力のある大手はこまごまとした要望に応えられるが中小は難しい。原材料の羊毛も値上がりしている」と明かし、地場業者の廃業増加を予想した。

 公取委の指摘に対し文部科学省は「制服に国として法令はなく、直接的な実態把握や指導はしていない」(担当者)と戸惑い気味。文科省や公取委は全国の教育委員会などに対し、保護者の負担が過重にならないよう呼び掛ける方針だが、公取委の提言に法的強制力はなく、価格低下につながるかは見通せない。

 

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