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【経済】

空き家、私鉄の商機 首都圏乗客増へ若者を沿線に

シェアハウスの共用スペースで談笑する日本人学生とジョイスさん(右)=横浜市金沢区で(池田まみ撮影)

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 少子高齢化や都心回帰で沿線住宅地の空き家問題が深刻化する中、首都圏の私鉄各社が対策ビジネスに乗り出している。若い世代をターゲットにした賃貸住宅の改装など、沿線の乗客を減らさないよう知恵を絞っている。 (瀬戸勝之)

 「デザインがおしゃれで生活も快適。共用スペースのダイニングや畳のコーナーがとても気に入っている」。マレーシアからの留学生で、横浜市立大国際総合科学部二年のジョイス・チョン・フイ・インさん(21)は満足そうに話す。

 京浜急行電鉄の金沢文庫駅から徒歩七分。横浜市金沢区にある日本人学生と外国人留学生のシェアハウスは、空き家だった築四十年の木造アパートを大規模改修し、三月に開設された。現在は七人が同居する。

 周辺エリアは京急が高度成長期にベッドタウンとして宅地開発してきたが、近年は空き家が目立つようになったため、大学、金沢区と共同で対策プロジェクトに着手。老朽アパートのシェアハウスは、学生の提案によって実現した。

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 空き家は全国的に増加しており、総務省の統計によると二〇一三年は八百二十万戸、空き家率は13・5%だった。このうち首都圏の空き家は二百十万戸で、十年間で二割強増えた。

 京急電鉄によると、金沢区内では人口減に伴って乗降客数も減少傾向にある。一六年度は一日当たり十九万八千九百人(区内五駅)と、この十年間で五千九百人減少した。さらに空き家の増加が、沿線の不動産価値の下落につながると各社は危機感を募らせている。

 小田急電鉄は昨年十月、オーナーから空き家や空室を借り上げて改装し、若い世代に転貸する事業を開始。築二十〜三十年の古い物件が中心だが、無垢(むく)のフローリングを取り入れるなど若者向けにリフォームした。広報担当は「二十〜三十歳代の子育て世代に入居してもらえている」と手応えを語る。

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 一方、空き家を民泊に利用することを視野に入れた取り組みが始まっている。京王電鉄は国家戦略特区として民泊が認められている東京都大田区の新築マンションを活用し、二月から運営をスタート。全十四室あり、利用者の八割を外国人観光客が占める。

 広報担当は「民泊の全国解禁をにらんで運営ノウハウを取得したい。今後は多摩地区などで展開し、高尾山で増えている外国人客の宿泊の受け皿づくりにつなげたい」と狙いを語った。

◆増加歯止めへ国交省方針 市町村の取引仲介、来年度にも新制度

 国土交通省は四日、地方都市の中心市街地などで増加傾向にある空き地や空き家を減らすため、買い手を見つけるのが難しい物件の取引を市町村が仲介する制度を二〇一八年度にも新設する方針を固めた。住環境の悪化を招く恐れがある空き物件を商店や公園などに有効活用してもらい、地域事情に合わせたまちづくりを促す狙い。来年の通常国会に都市再生特別措置法改正案を提出する。

 自治体やNPOが空き物件の取引を手掛けている例もあるが、一部にとどまっている。制度を利用した場合の税負担軽減策も導入する方向で、国交省は、空き物件解消の取り組みが全国に広がることを期待する。

 新制度は、都市の中心部に住宅や病院などを集約するコンパクトシティー政策の一環。仲介の対象は、市町村が作成したコンパクトシティー構想である「立地適正化計画」で、住宅などの集約先として指定した区域の物件とする。

 自治体は物件の所在地や所有者情報を集めるとともに、ホームページや広報誌で利用を希望する業者やNPO、自治会などを募集し、空き物件の売買につなげる。国交省は、制度を利用して土地を活用すれば、不動産取得税などを軽減したい考え。

 

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