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【経済】

東芝、WDと和解発表 半導体売却 事業再建向け前進

 東芝は十三日、半導体子会社「東芝メモリ」の売却を巡って対立していた米ウエスタン・デジタル(WD)と和解したと発表した。WDは、国際仲裁裁判所に申し立てていた売却差し止めの訴えを取り下げる。東芝は、東芝メモリの売却益を活用した事業再建に向けて前進した。

 和解を受け、東芝とWDが共同で半導体を生産する四日市工場(三重県四日市市)での協力関係を維持し、岩手県内で予定する新工場でも共同運営に向けて協議を進める。また東芝は、対抗措置としてWDに損害賠償を求めた東京地裁への訴えを取り下げる。

 東芝の成毛康雄副社長は「訴訟の懸念がなくなり、東芝メモリの成長を加速させることができる」とコメント。WDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)は「協業で製品供給を継続できることを大変うれしく思う」との声明を出した。

◆6000億円増資で交渉優位

<解説> 東芝は、WDとの和解で、経営再建に注力する態勢がほぼ整った。しかし、「稼ぎ頭」の東芝メモリを失った後、成長軌道に乗れるかは見通せない状況だ。

 和解交渉が進んだのは、東芝が次第に優位に立ったためだ。東芝は今月五日、計六十の海外投資ファンドなどから約六千億円の増資を完了させた。もともと東芝メモリの売却は、借金を減らし財務を改善することが目的。それを増資で達成したため、WDとの交渉を急ぐ必要がなくなった。

 一方のWDは、共同運営する四日市工場で建設中の「第六製造棟」への投資から締め出されており、最新製品が手に入らなければ世界での競争に負けるという弱みがある。東芝としても、年間数千億円もの投資額をWDと分け合えば、世界一位の韓国サムスン電子と競いやすく、和解で協力関係を継続したい意向があった。

 しかし、和解をしても、東芝メモリの売却を完了するには、各国の独占禁止法の審査を通過しないといけない。審査終了は早くても来年三月とみられるが、長引けば東芝の再建計画が遅れる可能性が出てくる。

 東芝は、エネルギーやインフラといった今後の主力事業に専念する方針だ。これらの事業は売上高が大きいが、東芝の営業利益の大半を稼ぐ東芝メモリと比べると収益面で見劣りする。液化天然ガス(LNG)事業は販売先探しが難航し、毎年百億円の損失が見込まれている。課題山積の東芝が立ち直れるかどうかは、次の成長事業を育てられるかに懸かっている。 (妹尾聡太)

 

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