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【経済】

暮らしへ増税次々 取りやすい会社員に狙い

 来年度の与党税制大綱は家計に痛みを与える増税が相次ぐ。八百五十万円を超える会社員が増税になり、「出国税」など二つの目的税も課せられることになった。衆院選では有権者にほとんど知らされなかった増税策だが、選挙での大勝を背景に十分な論議もないまま「取りやすいところから取る」強引な姿勢が目立つ変更となった。

 所得税については自民党は十月の衆院選公約で「各種控除の見直しに取り組む」と記載しただけ。増税はおくびにも出さなかった。

 だが、十一月下旬からの与党税制調査会で議論が一気に加速、所得税増税が決まった。自営業やフリーランスは減税になるが、所得が比較的高い会社員の控除は減らされる。所得税全体でみても政府は九百億円の増収を見込んでおり、差し引きで負担の方が大きいことになる。一方、相続税や株式の譲渡益課税などは手つかず。富裕層の既得権には切り込んでいない。

 相次ぐ新税も個人に打撃。使途を絞った目的税はかつて道路特定財源が批判されたように必要性にかかわらず財源が自動的に確保されるため、無駄づかいされやすく、長らく禁じ手だったはず。だが「出国税」も「森林環境税」も族議員と官庁の熱烈な要請で新設が決定。財源は観光施設や林道にも使える仕組みになっており一般の国民の負担で建設業界など自民党の支持業界へのバラマキが行われる懸念も強まった。

 半面、企業には賃上げと設備投資を条件に法人税減税の「アメ」を与える。安倍政権は賃上げを促し、消費を活性化させる狙いだが増税とセットでは、効果はなくなってしまう。

 二〇一九年十月には消費税が8%から10%に引き上げられる予定だ。「その後も増税が続くのでは」という不安は消えず、消費には逆風だ。高齢化社会を支えるための負担の在り方を示さず、取りやすい所から取って支持業界にばらまく安易な手法では国民の税制への不信は拭えず消費は冷えるばかりだろう。 (桐山純平)

 

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