東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

日銀短観11年ぶり高水準 経営側、慎重姿勢崩さず

写真

 日銀が十五日発表した十二月の企業短期経済観測調査(短観)は、経営者が今の景気が良いと感じていることを示した。ただ、根深い将来への不安を背景に、先行きには慎重な見方のままだ。利益が賃上げに回り、一般国民も実感を共有できる状態には達していない。 (渥美龍太)

 短観の景気実感は、「業況判断指数(DI)」と呼ばれる値で示す。DIは景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値で、大企業製造業は五・四半期連続で改善し、十一年ぶりの高水準となった。

 しかし、問題は先行きだ。東京都八王子市で喫茶店「珈琲(コーヒー)倶楽部 田」を営む永塚祐士社長は「将来が不安だらけでみんなお金を使わない」と嘆く。顧客は中小企業経営者が多く、「オリンピック需要がある建設業界の人でさえ『終わった後が怖い』と言っている。景気の良い話などまったくない」と話した。

 短観では、輸出関連の大企業が景気の拡大を引っ張り、中小企業の現状判断DIも上がってはいる。一方で先行きをみると、大企業製造業は現状と比べて三カ月後に六ポイントの悪化、中小企業は製造業・非製造業ともに四ポイントの悪化だった。

 二〇一三年に始まった「アベノミクス」は、輸出主導で景況感を改善させたが、経済の好循環は実現できなかった。経営者が先行きに自信を持てず、十分な賃上げをできなかったことが大きく、それは現在も変わっていない。

 政府は来年度に向けて、経済界に前年比3%の賃上げを求め、賃上げすれば税金を優遇するなど「アメとムチ」で経営者を動かそうと躍起だ。しかし北朝鮮問題など海外情勢は見通せず、経営の足かせとなりつつある人手不足も不安材料になる。

 明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは先行き不安の解消に向けて「先送りが続く抜本的な社会保障改革に加え、成長戦略が必要」と提言している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報