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【経済】

新電力「価値観」で商機 脱原発・CO2削減アピール

さまざまな発電所を紹介する「みんな電力」のホームページ。それぞれの出力容量に基づき応援できる最大人数も表示している

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 新電力各社が、再生可能エネルギーの普及に向け、価格以外の特色を打ち出す戦略に力を入れている。昨年4月から電力小売り自由化が始まったが、大手電力会社からの切り替えは進んでいない。価格で大幅な差がつけられない中、各社は「顔の見える電力」で利用者の価値観に訴えようと知恵を絞っている。 (伊藤弘喜)

 二酸化炭素(CO2)削減につながる再生エネ小売りを手掛ける「みんな電力」(東京都世田谷区)は電力の供給を受けている約五十カ所の発電所をホームページの「エネクト」コーナーで公開。運営者の写真とともに「脱原発・脱ダムの流れを加速させたい」などの思いを紹介する。牧場の小屋の屋根に太陽光パネルを設置した人たちや、使用済み食用油で発電している会社など小規模でユニークな取り組みが多い。

 消費者は好きな発電所を選ぶと、電気料金の一部を応援代としてその発電所に届けられる。「応援は励みになる。単なるお金のつながりではなく、再生エネを一緒に盛り上げていく仲間を得た感じだ」。千葉県木更津市で太陽光発電所を運営するエコロジアの林彰一社長は話す。

 「農家の顔が見える産直野菜のように、発電する側の顔が見える電力を消費者に届けたいのです」。みんな電力の竹蓋(たけぶた)優貴さんは意気込む。

 同社の電源は、再生エネの比率が六割以上と東京電力(一割)などより大きい。だが、家庭に届く電気は同じで違いが目に見えない。このため、どんな人がどう発電しているかが消費者に分かるようにして、自分の選択が環境改善に役立っていることをきちんと確認できるようにする狙いだ。再生エネの電力は固定価格での買い取りが小売会社に義務付けられており、大手電力と価格で差をつけにくい事情もある。

 丸紅の子会社の「丸紅新電力」(東京都中央区)はアニメ「となりのトトロ」の制作で知られるスタジオジブリと提携。電気料金の一部をジブリや、宮崎駿監督が呼び掛けた里山保全基金に寄付するプランを用意した。他のプランより1〜2%ほど高いがファンや自然保護の関心が高い人から支持を得ている。

 日本卸電力取引所にできる新市場を活用し「実質自然エネルギー100%」を打ち出す会社も出てきた。

 各社共通の悩みは大手電力からの切り替えが思うように進まないこと。電力小売り自由化開始以来、新電力に切り替えた家庭はまだ6・5%。「新電力は電気の安定性に劣る」「新たに電線を引く必要がある」などの誤解も根強く残っている。

 切り替えを後押しするキャンペーン「パワーシフト」事務局の吉田明子さんは「簡単な手続きで切り替えられることもほとんど知られていない」と指摘。「どの会社を選ぶかは、どんな社会を目指すのかという選択でもある。積極的に考えてほしい」と話している。

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