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【経済】

スバル、監査時無資格者外す 検査員試験でも不正

 資格がない従業員が新車出荷前の「完成検査」をしていた問題で、群馬県内の二工場での不正が発覚したSUBARU(スバル)は十九日、国土交通省や社内の部課長による監査の際、無資格者を検査から外す隠蔽(いんぺい)行為があったことを新たに明らかにした。吉永泰之社長は同日、再発防止策と、無資格検査をしていた原因などをまとめた調査報告書を国交省に提出した。

 報告書は外部弁護士が社員ら約四百三十人に聞き取りをして作成。報告書は不正は一九八〇年代から始まったとし、原因として完成検査の公益性や重要性に対する自覚の乏しさ、過度な技量重視の風土などがあると指摘した。

 報告書によると、国などの工場の監査時には、係長や班長の指示で無資格者を現場から外すことが「少なからず行われていた」ことも分かった。口頭で代々受け継がれていたという。

 完成検査員を登用する筆記試験では受験者に回答を教えた例も見つかった。再発防止策では、検査の管理強化や検査員の教育内容の見直し、全社的な法令順守意識の強化などを定めた。

 東京都内の本社で記者会見した吉永氏は「会社の刷新のためにけじめをつける」と述べ、社外取締役などを除く役員二十八人が報酬の一部を今月から来年三月まで、自主返納すると公表した。

 記者会見に先立ち吉永氏は国交省を訪問し、奥田哲也自動車局長に報告書を提出。奥田氏は「安全性に対するユーザーの信頼を損ない極めて遺憾だ。猛省し再発防止に迅速かつ徹底的に努めてほしい」と求めた。

 この問題では日産自動車で九月、無資格者による完成検査が発覚。国交省が各自動車メーカーに調査を指示した結果、スバルでも不正が判明し同社は計約四十万台のリコール(無料の回収・修理)を届けた。

◆社長弁明「個人の解釈で動いた」

 無資格検査問題で、SUBARU(スバル)が再発防止策などをまとめた報告書を公表した。報告書は試験官が受験者に回答を教えるなどの不正があったことなどを指摘。記者会見で吉永泰之社長は「会社が決めたルールを社員が守っていなかった。反省するべきことだ」と謝罪した。

 一連の不正が消費者に対する背信に当たる認識があるか、との問いに吉永氏は「その通りです」と認めた。販売にも影響が出始めており、今月の国内受注台数は前年同月の七割にとどまることを明かした。

 報告書によるとスバルは検査員養成の際、登用前でも完成検査の「補助業務」ができると社内規定で定めていた。その業務の範囲が徐々に拡大解釈され、一九八〇年代には無資格者が単独で検査する不正が始まり、検査員の印鑑を貸して押すことまでさせていた。

 だが常態化した無資格検査は長年、表沙汰にならなかった。社内外の監査の時には工場の班長などの指示で無資格者を一時的に検査から外すこともあったためだ。「余計な質問を受けるのが面倒」「印鑑の貸与の説明が苦しい」などが理由だった。

 報告書は「国交省の立ち入り検査でも同様の対応が行われた可能性が高い」と指摘した。国の検査に対して組織的に虚偽の報告や妨害をしたと判断されると、道路運送車両法に基づき一年以下の懲役か三百万円以下の罰金、またはその両方が科せられる。法人も二億円以下の罰金となる。

 会見で組織的な隠蔽(いんぺい)の有無をただされた吉永氏は「無資格者が監査時に、そのまま検査ラインにいたケースもあることが弁護士の調査でも確認されている」と説明。その上で「不適切な対応だが、組織ぐるみの隠蔽というには拙い。個人の解釈で動いたと思う」と釈明した。 (中沢佳子)

 

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