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【経済】

診断サービスで運転のクセ把握 車手放せぬ高齢者 免許返納せずとも

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 「高齢者安全運転診断センター」の開発した運転診断サービスは実際の高齢者にモニターとして協力してもらいながら開発した。

 配達などで毎日運転するという品川区のコンビニ店経営有馬紀久(のりひさ)さん(77)は、ドライブレコーダーを車につけ、いつも通る道でモニター体験した。

 このところ視野が狭くなったと感じたり、信号を見落とすこともあったが、「診断では体を大きく動かして安全確認することを指導された。たばこを吸いながら運転する際、前をよく見ないクセも指摘され、直すようにしている」と話す。

 ドライブレコーダーを二週間貸し出すことにより、高齢者が日常、運転する道路での運転ぶりを診断できる利点がある。事故分析の専門家が交差点などポイントごとに、安全確認をしているかや運転のクセなどを細かくチェックする。高齢者の運転を研究する小竹元基(しのもとき)・東大大学院准教授(自動車工学)らが診断のノウハウを提供した。半年間の電話カウンセリングもする。

 診断サービス開発のきっかけの一つは、同センターの石田浩専務理事(56)の苦い経験だ。仕事で運転する父(86)を心配し、免許返納させたが、その後、父は家に引きこもりがちになり、認知症の症状も出るようになってしまった。生活で車が必要な高齢者もおり、「一律に免許返納させるだけでなく、安全運転を指導する選択肢を用意することも大切」と考えた。

 「高安診(こうあんしん)」の名で教習所や保険代理店などを通じ全国で提供する。価格は四万五千円(税抜き)。個人が対象だが、ドライバーの高齢化に悩むタクシー業界の問い合わせもあるという。

 高齢者の運転を見守るサービスも始まる。

 損保ジャパン日本興亜は主に高齢者を対象に想定し、ドライブレコーダーを貸し、前の車との車間距離が一定以下になると、衝突の危険を感知して警告音を鳴らすサービスを一月から本格展開する。自動車保険の特約(年払いで九千七百二十円)として提供する。

 ドライブレコーダーが集めたデータをもとに運転のクセもリポートにまとめて提供する。万が一事故が起こった場合は、衝撃を感知、警備会社に通報され、ガードマンが現場に駆けつける。 

◆高齢死亡事故 年400件超

 警察庁によると、七十五歳以上の運転免許保有者は二〇一六年末で五百十三万人と十年前から倍増。全体の死亡事故が年々減少する中、七十五歳以上のドライバーが起こした死亡事故は年間四百件を超える水準で推移しており、一六年の件数は四百五十九件だった。高齢ドライバーによる死亡事故の全体に占める割合も一六年は13・5%と〇五年の一・八倍に上った。

 事故の原因はハンドル操作の誤りやブレーキとアクセルを踏み間違える操作ミスが最も多く、27・7%。

 こうした状況を踏まえ、今春施行された改正道路交通法では七十五歳以上の人は免許更新時の検査で認知症の疑いがある場合、医師の診療を受けることが義務付けられ認知症と診断されると免許が取り消されたり停止されることになった。

 認知症と診断されない場合でも運転が不安な高齢者については警察は免許の自主返納を奨励している。

 (中沢佳子)

 

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