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【経済】

思い出「死なない」けれど 相棒ロボットと暮らす

歴代アイボを前に人がロボットに抱く感情などについて話す乗松伸幸さん=千葉県習志野市で

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 発売から一定期間が過ぎ、部品が生産されなくなった古い電子機器を修理する会社がある。千葉県習志野市の「ア・ファン」。代表で、元ソニー技術者の乗松伸幸さん(62)の自宅には二〇一四年に修理のサービスが終わったソニーの先代アイボが積まれている。

 多くは持ち主が亡くなり、家族から「別の先代アイボの修理に『部品』を使って」と送られてきた「ドナー」たちだ。「『両親がかわいがっていた』とか、そんな手紙を添えてくれる」と乗松さんは話す。

 だからこそ修理には決まりごとがある。頭や足など表面のパーツが破損しても極力、丸ごとの交換はせず元の部品を生かす。

 原点は数年前にさかのぼる。塗装のはがれた頭部を交換。依頼者に返送すると「塗装がはがれたのは、結婚して家を出た娘が毎日さわっていたから。だからはがれたままでよかった」との言葉が返ってきた。乗松さんはロボットと過ごした日々の大切さに気付かされた。

 十一日発売の新型アイボはどうか。持ち主との関係は一組ごとに違う。企画・開発を統括するソニーの矢部雄平さんは「壊れたり修理ができなくなったりしてもできる限り思い出を残したい。それが私たちの責任」と話す。

 思い出を残す一つの方法が、人工知能(AI)を持つアイボが持ち主と遊ぶ中で覚えた愛情表現などを、インターネット経由で外部の記録装置に保管することだ。それができればアイボが大破しても「記憶」を他のアイボに移し再現できる。そのアイボは、それまで通り持ち主になつく。

 ただ一般的な電化製品と同様、時代に合わなくなった旧式部品を作り続けることはなく「新型アイボも生産の終了から七年」(ソニー)で修理サービスを終える見通し。その場合でも、次に登場する新型ロボットがアイボの「記憶」の一部を引き継ぐことはできそうだ。だが姿や形が変わったロボットを持ち主が素直に「ウチの子」と呼べるか、という問題が出てくる。

 ロボットの修理を続けてきた乗松さんは「持ち主にはロボットとの歴史がある。部品がなくなったら作ればいい。修理代が何十万円かかろうと顧客が望むなら作り手は支えるべきだ」と話し、修理などサポートの長期化を願う。(妹尾聡太)

 

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