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【経済】

コインチェック常時監視 仮想通貨流出で金融庁 取引所3つの穴

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 五百八十億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した問題で、金融庁は二日、仮想通貨取引所大手コインチェック(東京)に立ち入り検査に入り、検査官を常駐させる監視態勢に入った。大量流出から同日で一週間。過去最大規模の流出騒動から仮想通貨取引所が抱える「三つの穴」が浮かび上がった。 (桐山純平、渥美龍太)

 「本当に返す資金があるかどうか調べる」。金融庁幹部は検査の目的を強調する。コインチェック社は計約四百六十億円分は顧客に返金すると発表した。だが、財務情報を公開しておらず、資金が本当にあるかは不明だからだ。

 騒動では、仮想通貨が流出した場合の安全網の不備が露呈した。仮想通貨は取引記録をネットで閲覧できるため、流出後の通貨がどこの口座を移動しているかの追跡はできている。だが、銀行口座と異なり仮想通貨の口座をつくるのに本人証明は不要。口座の持ち主を特定するのは難しい。

 銀行預金では少なくとも一千万円まで弁済される預金保険制度があるが、仮想通貨には補償制度もない。

 ハッカーに狙われたのは、資産管理の安全性が低かったからだ。取引所は侵入を防ぐため、インターネットと切り離して通貨を管理しているのが通常だが、同社では「開発余力がなかった」としてネットに接続したままだった。

 通貨の保管場所にアクセスする際に必要な暗号(カギ)も複数ではなく一つだけだったという欠陥も。

 同社は安全性の高さを強調してきており、顧客にはその不備が分からなかった。金融庁は安全対策などについて適切な情報公開を義務付けているが、徹底されていない。米フェイスブックが仮想通貨の広告を禁止したように、業界の広告も乱高下のリスクを説明しないなど利用者に誤解を与える内容が少なくない。

 昨年四月に導入した規制にも盲点があった。金融庁は安全性を審査するため、取引所を登録制にしたが、コインチェックはまだ審査中。それにもかかわらず、同社が営業できたのは規制導入前からあった取引所は「みなし業者」として営業を続けられる特例を設けたため。同社はずさんな管理体制のまま営業できた。

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 同社の検査とは別に、金融庁は国内すべての取引所の安全点検に乗り出した。三月の二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、仮想通貨が議題となる見通しで、規制強化に向かう可能性もある。

<仮想通貨> インターネット上でやりとりするお金。ネット上に取引記録が管理されているのみで、実体はない。ビットコイン(BTC)など1000種類以上があるとされる。入手方法は、専門の取引所で円やドルなどと交換する。日本政府と日銀に対する信用が円の価値を支えているのに対し、仮想通貨では、世界中の企業・個人が取引内容を記録し、相互監視で不正を防ぐ仕組みで信用を支えている。

 既存の銀行を使った送金と比較すると、手数料の安さや時間を気にせず送れることに利点がある。だが、投機目的で買われている面も大きく、BTCは昨年1年間で約20倍に高騰した。

 

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