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【経済】

黒田日銀総裁再任へ 政府、緩和政策継続を重視

黒田東彦日銀総裁

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 政府は、四月に任期を終える日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁(73)を再任する方針を固めた。黒田氏が導入した大規模な金融緩和が「アベノミクス」の柱となり、景気や雇用の改善に効果があったと評価された。ただ実際には、民間銀行の経営悪化などの弊害が浮上、二期目には緩和を終える「出口戦略」に踏み出さざるを得ない状況で、先行きは厳しい。

 任期五年の総裁が二期目に入るのは、戦後では山際正道氏(在任一九五六〜六四年)以来。政府は二月中にも再任の人事案を国会に提示する。

 三月に任期を終える二人の副総裁、岩田規久男氏(75)と中曽宏氏(64)の後任は、日銀の雨宮正佳理事(62)らの名前が挙がっている。

 二〇一二年十二月の総選挙で安倍晋三自民党総裁が、緩和の推進を掲げて政権を奪取し、黒田氏を総裁に任命した。黒田総裁は一三年四月、世の中に流すお金の量を前例のない規模で増やした。一時は為替相場を円安に誘導して企業収益を押し上げたが、従業員らへの広がりに乏しかった。当初二年程度で前年比2%の物価上昇率を達成する目標を、六度先送りしている。

 さらに超低金利を続けたことで、年金・保険の運用や銀行の経営が悪化。日銀自身にも大きな損失が発生して国民負担が生じる可能性が浮上している。

◆出口戦略に向き合う5年

<解説> 二期目の黒田総裁が取り組まざるを得ないのは、やり過ぎた金融緩和を終える「出口戦略」だ。就任時、大規模な金融緩和をすれば日本経済の問題が解決するかのような期待は消え、自らが招いた厳しい現実と向き合う五年間になる。

 黒田総裁は安倍政権の意志を忠実に実行する形で、前例のない規模で世の中にお金を供給した。円安への誘導による企業収益の拡大など「効果」の裏側で、当初から危惧されていたのが出口の問題だった。

 お金の供給は、日銀が民間銀行から国債を買って代金を渡す。政府の借金である国債を大量に買うため、財政の規律はすっかり緩んだ。日銀自身も割高な値段で買い続けたツケで損失が発生する見通しで、穴埋めの国民負担が懸念される。

 今や抱える国債は全体の四割。出口で購入を減らしていくとき、投資家たちが「財政がもたないかも」と不安に陥れば、金利の急騰など市場の混乱は避けられない。さらに世界の主要な中央銀行がやっていない「株買い」を大規模に進めており、出口で株価が急落しないよう売却するのも極めて難しい。

 黒田総裁は政策の効果には冗舌な一方、出口戦略は全く語らない。日銀OBの早川英男氏は「今の総裁の仕事は何よりも国民に出口の厳しさを説明すること」と強調する。実際に出口で国債や株買いを減らせば、政府の利害と衝突する。日銀はこのまま政府の代理機関にとどまるのか、中央銀行としての覚悟が試される。 (渥美龍太)

 

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