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【経済】

「帰ろう、休もう」 IT業界がアナログ策

退社予定時間などをデスク上に表示するカードが並ぶ伊藤忠テクノソリューションズの社内=東京都千代田区で

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 退社予定時間を書いたカードや有給休暇の消化を促す社長の手紙などを活用し、長時間労働を減らす試みが、IT業界で広がっている。「帰ろう、休もう」と思わせるIT企業の「アナログ」な知恵を探った。 (妹尾聡太)

 「午後六時までに帰る」「明日は朝型勤務」−。そんなメッセージを記したカードが、各社員のパソコンのモニター上に掲げられている。

 ITシステムの開発などを手掛ける「伊藤忠テクノソリューションズ」(東京)は、二〇一六年から「退社時間の見える化カード」を社員約七千人に配った。カードは二十種類。出社後、目標の退社時間や翌日の予定などを周囲に示しておく。

 社員の予定などは社内のパソコンでも公開しているが、わざわざパソコンを操作しないと把握できない。人事部の飯田昌平さん(40)は「退社時間を宣言してみると、社員がお互いに『この時間に帰りたいのだな』と分かり、帰宅を促し合うようになった」。

 インターネット接続サービス「インターネットイニシアティブ」(東京)では、システム開発チームの部屋の一角に、付せん紙がいくつも貼られたホワイトボードが置かれている。付せんには「エラーが発生」「未完成の機能がある」といった課題が書かれ、解決の優先順位を決める手掛かりとしている。広報部の堂前清隆さん(40)は「ぱっと見て課題が分かるため、特定の社員への負担集中を防げる」と、効果を話す。

 IT業界は、パソコンのシステムが二十四時間三百六十五日稼働していることが多く、長時間労働になりやすい。取引先に常駐する仕事もあり、自社の都合だけでは休みにくい。

 システム開発や販売を行う「SCSK」(東京)は一三年から、「今年は何日と何日に、社員が一斉に有給休暇を取るのでご配慮を」との社長名の「手紙」を、役員らが取引先に手渡している。取引先の理解も得られやすくなり、有給休暇の取得率は一三年度以降、95%以上を維持する。

 こうした取り組みについて、労働問題に詳しいリクルートワークス研究所の石原直子主任研究員は「長時間労働を減らすには、目に見えるメッセージで働く人たちの意識を変えることが大事ということ」と指摘する。

 

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