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【経済】

相乗りタクシー 定着なるか 運賃割安も同乗さがし大変

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 国土交通省と東京都内のタクシー会社二社が「相乗りタクシー」の実証実験を行っている。スマートフォンの配車アプリを使って乗車を申し込んだ複数の乗客が一台のタクシーに同乗することで、運賃が割安になるのが売りだ。ただ利用者を組み合わせる「マッチング」に長い時間がかかるなど課題も。新たな顧客掘り起こしにつながるか。相乗りタクシーを試した。 (瀬戸勝之)

 「また『空振り』か…」

 二月の平日の夜。東京・浅草から新宿まで相乗りタクシーを試そうと、スマホでタクシー会社「日本交通」のアプリを立ち上げた。だが二十分待っても同乗者は見つからない。この日まで三十回超、試していたが、一時間超待っても相手がいない空振りが大半だった。不安が募る。

 だが今回は違った。「同乗者が見つかった」の通知がアプリに届く。スマホに表示された運賃は四千百九十円。これは迎車料金(四百十円)を含み、日本交通が示す同区間を単独で乗った場合の標準運賃(五千四百六十円)より千円超安い。相乗りタクシーの運賃は乗車前に決まる仕組み。すぐに乗車を申し込んだ。

 スマホに表示された予定時刻の数分前にタクシーが到着。後部席に案内してくれた。運転手も「相乗りは初めて」と緊張気味だ。

 同乗者が待つのは千代田区麹町。二十歳代とみられる女性が助手席に乗った。前後に利用者の座席を分けるのはプライベートな空間を保つための配慮だ。

 「相乗りは二回目です」と女性。目的地のJR荻窪駅付近まで一人で乗ると約六千円かかるが前回はそれより四割ほど安く、また使ったという。運賃を評価しつつも「深夜はお酒に酔った男性客も多そうで心配。女性同士でマッチングする機能を」と求めた。ちなみに同様に相乗りタクシーを実験中の大和自動車交通にはこうした設定がある。

 新宿に到着。運賃は事前登録したクレジットカードで払うため下車に時間はかからない。領収書は数日後メールで送られてきた。

     ◇

 相乗りタクシーの運賃は乗車距離に応じ同乗者間で案分される。出発地から後で降りた客の場所までの最短距離と、実際に走った距離との「一致率」が高いほど割安になる。日本交通は単独乗車より運賃は約二〜四割安いと説明しているが、利用する時間帯の交通状況などにも左右される。担当者は「見知らぬ人との同乗に抵抗感がある人もいる。定着には少し時間がかかる」と見通す。事前の予想通り「夜間の長距離利用が多い」という。

タクシーの後部ドアに貼られた「相乗りタクシー」のステッカー=東京都千代田区で

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◆現金支払いや障害者利用券不可

 実証実験の背景には利用者減や一般人の自家用車に複数の人が相乗りする「ライドシェア」への危機感がある。1月下旬に始まった実験は3月11日まで続く。

 日本交通(参加300台)は乗車、降車地点とも自由に選べ、同乗は2人まで。大和自動車交通(649台)は都内30カ所の指定場所に利用者が集まり、それぞれの目的地に向かう「この指とまれ」方式で3人まで同乗できる。

 いずれも運賃は事前に登録したクレジットカードによる決済で現金は使えない。東京ハイヤー・タクシー協会の障害者割引は、通常通り1割引きが適用されるが、多くの市区町村が障害者に支給するタクシー利用券は使えず、不満の声も出ている。

 国交省やタクシー会社は「実験は課題の洗い出しが目的」とし、現行の決済方式を続ける方針だ。

 

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