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【経済】

緩和縮小19年度に検討 日銀総裁表明 物価2%達成で

衆院議運委で所信を述べる日銀の黒田総裁=2日午後

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 四月に再任する見通しの日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁(73)は二日、衆院議院運営委員会であった二期目の所信聴取の質疑で、現在の金融の大規模緩和を縮小する時期について「二〇一九年度ごろに(金融緩和を縮小する)出口を検討し、議論していることは間違いない」との考えを示した。政策の目標とする物価上昇率前年比2%を一九年度に達成するとの前提だが、金融緩和縮小の検討時期を明確に示すのは初めてだ。

 今の金融緩和は長期化により、民間銀行の経営悪化などの弊害が現れており、識者からは縮小の議論を早く始めるように求める指摘が数多く出ていた。黒田氏はこれまで「出口にさしかかったら議論する」などのあいまいな発言にとどめており、二期目を前にして一歩踏み込んだ形だ。

 ただ、黒田氏はもともと一三年四月に金融緩和を始めてから二年間で2%の達成を目指し、これまで六度も目標を延期している。足元の物価(生鮮食品を除く消費者物価指数)が一月で前年比0・9%上昇にとどまっている状況から、多くのエコノミストや経済学者は、一九年度目標の達成も困難とみている。金融緩和の縮小が見通せない状況は変わっていない。

 五日には、副総裁候補の若田部昌澄氏(53)と雨宮正佳氏(62)が議運の所信聴取を受ける予定。

◆進む円高 険しい政策転換

 日銀の黒田総裁が二期目を迎えるに当たって金融緩和を縮小する「出口」議論の時期に触れ、円高が進むなど市場が混乱した。銀行の経営悪化など金融緩和の弊害が積み重なったことにより、二期目には縮小せざるを得ないと多くの投資家がみなしているためで、政策転換への道のりが険しい現実をあらためて示した。

 黒田発言を受け、この日の東京市場は長期金利が上がり、円相場も一時一ドル=一〇五円台まで上昇した。

 黒田氏は衆院議院運営委員会の質疑で、緩和の弊害を指摘する意見を相次いで受けた。銀行経営や年金保険運用の悪化に加え、国債買い過ぎによる財政規律の緩みなどへの批判だった。

 調査会社の東短リサーチの加藤出氏は「総裁としても異例の金融緩和をやり散らかしたままでは終われない。二期目のどこかで正常化せねばという思いが、今回の発言の背景にあったのではないか」と推測する。

 一方で黒田氏は二〇一九年度の2%目標達成に向け「必要ならさらなる緩和も検討する必要がある」といつも通りの強気発言も飛び出した。しかし市場が反応したのは、出口をめぐる発言の変化だった。

 黒田氏は、物価が2%に上昇することを前提にしているものの、実現は困難とみられ、「2%まで物価が上がらなくても、雇用などの改善を理由に縮小に向かうのでは」(エコノミスト)といった観測が出つつある。

 だが、金融緩和の縮小に向かえば金利が上がって円の価値が上がるため、円高などによる金融混乱の懸念は常につきまとう。

 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「どういう状況になれば縮小に向かうのか、リスクも含めて逃げずに語ることが長期的には市場の安心につながる」と提言している。 (渥美龍太)

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