東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

黒田氏 緩和推進派と距離 「出口」など現実路線模索

写真

 日銀の新たな正副総裁候補の国会での所信聴取が七日、四日間の日程を終えた。黒田東彦(はるひこ)総裁(73)が金融緩和の推進を目指す「リフレ派」の副総裁とともに、物価上昇率2%を目指す構図はこれまでと変わらない。しかし黒田氏は緩和を縮小する「出口戦略」の検討時期や長期化の副作用にも言及。五年前と比べると、リフレ派と一線を画して現実路線を模索する姿ものぞかせた。(渥美龍太)

 「デフレからの完全脱却前の出口戦略は避けねばならない」。リフレ派副総裁候補の若田部昌澄氏(53)は七日、出口への考えを明確に示した。開始の目安として「物価2%以上が二年間持続」とも発言。多くの識者が2%の到達さえ困難とみる中、今後も長期にわたって緩和を続けかねない主張だった。

 今の政策は自民党の安倍晋三総裁が二〇一二年の衆院選で金融緩和推進を掲げて政権を奪還し、黒田総裁とリフレ派の副総裁を任命して始まった。安倍氏は衆院選のころに「日銀に無制限にお札を刷らせる」などと発言しており、その背景がリフレ派の考え方だった。

 安倍氏が例えとして使った「お金を刷らせる」とは、日銀が国債を民間銀行から大量に買って代金を渡すこと。世の中のカネ回りを良くして二年で物価を2%に上げる狙いだった。黒田執行部は安倍政権の意向を実行したが五年たっても目標に届かず、民間銀行の経営悪化など弊害が重なった。

 黒田氏は所信聴取で、これまであいまいにしてきた出口戦略の検討時期を「一九年度ごろ」と説明。日銀出身の副総裁候補の雨宮正佳氏(62)とともに、銀行の経営悪化など政策の副作用に懸念を示す発言も行った。「副作用は顕在化していない」と述べた若田部氏とは明らかに温度差がある。

 BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「黒田総裁は目標を達成できなかったことで五年前と比べてリフレ派との距離が離れた。もう追加の緩和は考えていない」との見方を示す。そのうえで「2%にこだわらずに政策の手じまいを開始するべきだ」と提言している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報