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【経済】

業績好調でも微増 3%独自解釈 トヨタはベア非公表

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 二〇一八年春闘は十四日、大手企業の経営側が労働組合の要求に一斉に回答した。安倍政権が「3%の賃上げ」を要請し、企業業績も好調の中での春闘だったが、「月収ベース」ではおおむね前年から微増にとどまった。独自の解釈で「3%以上」とする企業もあるが、家計が賃上げを実感できる水準には届きそうもない。 (春闘取材班)

 「数字が入らない、非公表というのは、(各社の)共闘の観点からいくと問題を残したとの認識を持っている」。回答後の記者会見で自動車総連の高倉明会長は、トヨタ自動車が前年の月千三百円を超えるベースアップ(ベア)を実施するとしながら、具体額を公表しなかった異例の対応に苦言を呈した。

 トヨタは額を非公表としつつも、平均昇給額が安倍政権が求めた3%を上回る「3・3%増」だったと強調。その昇給額には手当や自己学習にかかる費用補助など支援策も含めたほか、期間従業員の昇給も含めており、従来との比較もできない形をとった。もともとトヨタは組合からの要求段階で、三千円の満額回答でも月収ベースで2・87%にとどまると説明していた。

 千五百円のベアを実施した日立製作所も月収ベースでは2・3%の賃上げにとどまったが、「3%の定義を年収ベースで考えている」(中畑英信執行役常務)と主張し、一時金(ボーナス)などを加え「4・1%の引き上げ」が達成できたとしている。

 このように経営側は独自の解釈で成果を強調したが、政府や経団連が例年示す賃上げの統計はベアと定期昇給による月収ベースだ。日本総研の山田久氏は「政府の3%要請を意識し、企業は工夫しながら回答したという印象。だが、本来のベアと定昇で3%という要請には届いていない」と解説。民間シンクタンクの試算では、今春闘の月収ベースの賃上げ率は2%台半ばで、昨年をわずかに上回る程度となりそうだ。

 今春闘では「働き方」への議論にも注目が集まった。国会では森友問題などを巡る混乱で、「働き方」関連法案の議論の進展が見通せない状況だが、労使は先取りする形で残業規制や労働時間の短縮に関する議論を交わしてきた。

 富士通は一部職種に限り、三カ月で三百時間としていた残業上限を二百四十時間に引き下げることで合意した。日立製作所では終業から始業まで一定時間を空ける「勤務間インターバル制度」の導入を議論し、十一時間を空けて勤務に就くことが決まった。ただ、日立やホンダの労組が要求していた残業時間の上限引き下げについては、この日までに合意に至らなかった。労使交渉だけで制限をかけることに限界も見えた形で残業規制の法制化が急務となっている。

 

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