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【経済】

大規模緩和5年 日銀総裁 発言現実とズレ

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 日銀の黒田東彦総裁が、大規模な金融緩和を始めてから四日で五年が経過する。同総裁は九日に再任する見通しだが、当初二年で終える予定の政策は倍の期間を経てもメドがつかず、総裁発言と現実とのズレが隠せなくなっている。物価上昇率2%という目標に縛られ、「建前」を繰り返さざるを得ない状況に陥っている。 (渥美龍太)

 「できるだけ早く2%を達成する」。再任を前に三月にあった国会の所信聴取で総裁が語った言葉は、五年前と全く変わらなかった。二年で達成という当初目標を、その後に六回も延期したにもかかわらずだ。

 直近二月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年同月比上昇率が1%にとどまる中、現在の目標の「二〇一九年度での2%への上昇」は多くのエコノミストが信じていないが、黒田総裁は「達成を確信している」と強調した。

 金融緩和の目的を巡っても、建前の発言が繰り返される。そのうちの一つが「財政ファイナンス(支援)を目的としたものではない」。日銀の政策は金融機関から国債を買って代金を渡すことで、カネ回りを良くする狙いだ。政府の借金証書に当たる国債のうち日銀が保有している分は五年間で四割を超え、政府が予算支出を拡大するのを支えており、事実上の肩代わりといわれる。

 ほかに「目的としない」と話すのは「株価」。日銀は世界の主要な中央銀行で唯一の株買いをしており、累計で二十兆円分を保有している。株価がある程度下がったとき、日銀がすぐさま買い支えるのは「公然の秘密」(国内証券)といわれる。

 調査会社の東短リサーチの加藤出氏は「日銀は財政を助け、株価を支える、政府に都合の良い存在になってしまった」と指摘する。

 逆に総裁が一貫して口をつぐむのが、政策を終える「出口戦略」だ。三日の国会でも「出口が具体的になる時期に適切に伝えていく」と述べるにとどめた。割高に国債を買い続けたことに伴う日銀の損失の規模など深刻な論点が多いだけに、議論の封印が市場関係者の不安を呼ぶ。

 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「2%を中長期的な目標に変更すれば政策や発言も柔軟化できる」と提言している。

 

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