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【経済】

フリーランスの過酷な実態 仕事中に事故、病院代出ず

料理を宅配するウーバーイーツの配達員も個人事業主=都内で(木口慎子撮影)

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 安倍政権が柔軟な働き方として推進するフリーランス(個人事業主)の立場の弱さを示す事例が相次いでいることが明らかになった。本紙の調べでは交通事故に遭った宅配サービスの配達員に病院代などが補償されない事例が続いている。報酬を一方的に減らされたり、女性が出産後すぐに働かざるを得ないなど労働環境の厳しさも鮮明。政府が六日に国会提出した「働き方」関連法案でもフリーランス保護策は抜け落ちており、このまま推進すれば、多くの人の労働条件が低下する心配がある。 (瀬戸勝之)

 フリーランスは雇われるのでなく、個人事業主として仕事を請け負う働き方。政府は女性らの労働参加を増やせるとして働き方改革に盛り込み所得税見直しなどで推進中。仲介業者ランサーズの推計では三月時点で六百六十五万人(副業を除く)と労働力人口の一割に上る。企業も労災や失業保険負担がなく、社員に比べ人件費が削減できるほか、ネット仲介業者の増加で仕事を外注しやすくなっているため積極利用する。

 企業負担が軽い一方で働く人のリスクは大きい。

 配車アプリで有名な米ウーバー・テクノロジーズが運営する料理宅配サービス「ウーバーイーツ」の配達員、鈴木堅登さん(25)=横浜市=は昨秋、配達後、バイクで帰宅中に車に追突され、首を捻挫。ウーバー社に病院代の補償について尋ねたが、払われなかった。

 ウーバーイーツの配達員は、ネット上のアプリの指示に基づき、飲食店の料理を注文した家庭に配達している。国内で登録する約一万人の配達員は、それぞれが個人事業主として自分のバイクなどで配達しており、ウーバー社は「雇用関係がないので労災補償の対象にならない」と説明する。

 都内の五十代男性も二月に自転車で配達中に坂道で転倒。顔面骨折したが、自費で払い、休業補償も受けられなかった。ウーバー社は「二月末から自転車配達に関しては保険に加入した」としているが、バイクは自己責任を求める方針だ。

 フリーランスは最低賃金の対象外で、低賃金の人も多い。連合の調査ではネットで仕事を受注するフリーランスの場合、報酬が払われなかったり遅れた場合も四割が抗議もせず泣き寝入りしていた。労働基準法は出産後八週間は労働を禁じているが、フリーランスの女性グループによる調査では44%が一カ月以内に復帰を余儀なくされていた。

 労働問題に詳しい川上資人弁護士は「ネット仲介業者の台頭でフリーランスはさらに増える。労働法整備など保護策を急ぐべきだ」と指摘している。

<フリーランス> 企業や団体に所属せず、仕事を請け負う個人事業主。IT技術者や編集者、デザイナー、芸能人や大工、運送業者など幅広い。インターネット上で発注者と受注者を募り、仲介するサービス「クラウドソーシング」の普及によって世界的に人数が増えている。時間や場所に関係なく仕事ができるため、複数の発注者と契約している人も多い。弁護士や、一人経営の商店主などは除くケースもある。

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