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【経済】

黒田総裁 緩和縮小語らず 2期目スタート 物価2%目標堅持

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 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が九日に再任され、二期目がスタートした。黒田氏は記者会見で、焦点の金融緩和の縮小について「2%の物価目標までなお距離があり、今緩和を減らしていくのは適切ではない」と強調した。縮小の具体策を問われても「まだ語る局面ではない」とかわし、あくまで2%を目指す姿勢は一期目と変わらなかった。

 会見に先立ち、首相官邸で黒田氏と会談した安倍晋三首相は、2%に向け「あらゆる政策の総動員をしてほしい」と要望。来年十月の消費税増税で予想される経済の減速に対し、政府と日銀が協調して対応する考えを示した。

 黒田氏も会見で2%に向けて「総仕上げに全力で取り組む」と強調するとともに、増税への対応には「適切に対応したい」と述べるなど、政府側と歩調をそろえる場面が目立った。

 総裁が二期連続で務めるのは五十七年ぶりで、任期は五年。新たな副総裁には先月、金融緩和で物価上昇を目指す「リフレ派」の経済学者若田部昌澄氏、日銀理事だった雨宮正佳氏が就任している。

 黒田氏は二〇一三年四月、安倍政権の意向を受けて大規模な金融緩和を始めた。追加の緩和を繰り返したものの目標の物価2%には届かず、当初二年で達成する目標を六度延期した。2%到達は「二〇一九年度ごろ」を見込んでいる。

◆緩和出口 政府との摩擦不可避

 <解説> 日銀の黒田東彦総裁にとって二期目は、前例のない規模の金融緩和を縮小できるかが最大の課題になる。物価2%上昇まで緩和を続ける目標に縛られ、地方銀行の経営悪化など副作用が膨らむばかりだからだ。政策の継続を求める政府との摩擦も避けられず、厳しい撤退戦を強いられる。

 金融緩和は円安に誘導し企業収益の改善に効果があったとの評価の一方で、賃金が上がらなかった。収入が増えない国民にとって物価の上昇は打撃だ。金利の低下で地銀などの経営は悪化し、金融危機の不安がささやかれる。

 緩和の手法も、政府の借金証書の国債を銀行から買って代金を渡し、カネ回りを良くするもので、日銀が国債の四割をまかなう状況に陥った。世界の中央銀行がどこもやっていない株買いは二十兆円に達した。

 もともとは安倍晋三自民党総裁が二〇一二年、金融緩和の推進を掲げて政権を奪還し、黒田総裁を任命したのが始まりだった。再任に際しても安倍首相は「2%に向け政策の総動員を」と緩和の継続を望む。

 緩和を縮小すれば、政府にとって巨大な借金の引き受け手が消え、支持率に直結する株価は下落、円高の可能性も高まる。「日銀が財政や株価を支えており、緩和を止めるとき政府から相当の圧力がかかる」(エコノミスト)とみられる。

 本来、政府から短期的な景気の刺激や財政の支援を求められても、副作用を考えて歯止めとなるのが中央銀行の役割だ。政府の「期待」に応えて五年間大盤振る舞いを続けた黒田日銀は二期目、忖度(そんたく)せずに自らの判断で手じまいをできるのか、覚悟が問われる。 (渥美龍太)

 

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