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【経済】

米、TPP復帰を検討 トランプ氏指示 交渉の進展 不透明

 【ワシントン=白石亘】米ホワイトハウスは十二日、昨年離脱した環太平洋連携協定(TPP)への復帰を検討すると発表した。トランプ大統領が、米国に有利な条件で交渉ができるかどうかを調べるように、ライトハイザー通商代表部(USTR)代表とクドロー国家経済会議(NEC)委員長に指示した。

 秋の米中間選挙を前に、TPPへの復帰を望む農業界にアピールする狙いがある。また中国に対して「対中包囲網」の性格もあるTPPを持ち出して、揺さぶりをかける狙いもあるとみられ、具体的な交渉の進展につながるかは不透明だ。

 米メディアによると、トランプ氏は十二日、ホワイトハウスで開かれた農業団体を支援する共和党の上院議員との会合の席上で、ライトハイザー氏らにTPP復帰の検討を命じた。

 トランプ政権は中国との貿易摩擦がエスカレート。中国が25%の報復関税を課す対象になった大豆や牛肉などの米農業界は「壊滅的な影響が出る」(米大豆協会)と反発を強めており、トランプ氏は農家の救済策を検討していた。一方で、農業界は輸出拡大が期待できるTPP復帰を望んでおり、トランプ氏がこうした声に配慮したとみられる。

 トランプ氏は二〇一六年の大統領選で、オバマ前政権が推進してきたTPPを「大きな災難」と批判。大統領に就任直後の一七年一月にTPPから離脱する大統領令に署名した。ただ今年一月に「米国にとって、かなりいい取引になるならば」と、再交渉を条件にTPP復帰を検討すると述べていた。

◆中国を念頭 揺さぶりか

<解説> トランプ米大統領が環太平洋連携協定(TPP)への復帰を検討するよう指示したのを受け、米メディアには「政策の驚くべき変化」(米紙ニューヨーク・タイムズ)との見方がある一方で、「真剣にイニシアチブを取ろうとしているのかまだ分からない」(ワシントン・ポスト)と懐疑的な受け止め方も少なくない。

 米農業界で復帰を望む声が多いのは、TPPが発効すれば、例えば米国産の牛肉や豚肉などを日本に輸出する場合、TPP加盟国である豪州やカナダより関税面で不利になるからだ。

 また、中国が報復関税で「狙い撃ち」した米中西部の農業州は、伝統的に共和党の強固な支持基盤でもある。トランプ氏は中間選挙を秋に控え、何らかの農業救済策を打ち出す必要性に迫られていた。

 さらに中国との貿易摩擦が激化しており、今回の方針転換は「TPPに復帰すれば、他の貿易相手国と一体になって、中国政府にプレッシャーをかけられる」(ワシントン・ポスト)との分析もある。

 ただトランプ氏はもともと多国間の交渉に否定的で、発言のぶれも大きい。今回も単なるアピール材料や交渉カードに終わる恐れもあり、どこまで具体的な行動が伴うかで本気度を見極める必要がありそうだ。(ワシントン・白石亘)

 

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