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【経済】

<原発のない国へ 世界潮流を聞く> (1)中国「50年には再生エネ中心」

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◆中国国家気候変動戦略研・李俊峰教授

 世界各国で太陽光、風力など再生可能エネルギーが飛躍的な拡大を続けている。日本政府が依然、原発を基幹電源として位置付け、再生エネルギーが伸び悩んでいるのと対照的だ。世界潮流から何を学ぶべきか。国内各地の再生エネ導入の現場をルポした第一部に続き、研究者やビジネスマンなど世界の専門家たちにエネルギー事情の最前線を聞く。

 −中国の再生エネの導入状況は。

 「中国政府が二〇〇七年に再生エネの拡大計画を立ててから、再生エネが急速に増えており、一七年の発電に占める再生エネの割合は計約33%に増えている。これまでは水力、風力の割合が大きかったが今後は太陽光が急増する。二〇年の目標は35%だが、前倒しで達成できるかもしれない。経済政策を立案する国家発展改革委員会は三〇年の目標として、温室効果ガスを排出しない非化石電力である再生エネと原子力で電気の50%超を賄うことを掲げている。原子力はこのうち5%にも満たないだろう」

 −再生エネ増加の背景は。

 「技術が進歩し、大量生産が可能になった。太陽光発電用のパネルなど設備投資費用は〇七年から十年間で八分の一まで下がり、いまも急速に下がり続けている」

 「これに伴い発電費用は下がるので、電力会社が発電会社から買い取る際の固定価格も大規模太陽光は今年は一キロワット時当たり〇・五五元(九・二円)まで下がっている。これも日本(本年度十七円)の半額だ。二五年には石炭より安くなり、買い取り制度そのものが不要になるだろう」

 −なぜそれほど設備投資費用が下がっているのか。

 「太陽光発電設備を作るメーカーが激しく競っているためだ。中国では太陽光メーカーは世界一、二位の企業を含め二百社以上がひしめき合っている。いまや中国メーカーが世界の太陽光生産の70%を占める。風力タービンのメーカーも二十社以上ある。受注を巡って値下げ競争が起きている」

 −原発政策は。

 「中国政府は日本の東京電力福島第一原発事故を受け、原発の建設計画を大幅に見直した。一三年以降は新規の建設計画を承認していない。すでに建設中の原発はあるが、二〇年時点の原発の設備容量の目標はもともとの百二十ギガワットから半分以下の五十五ギガワットに大幅に下方修正している」

 「建設途上にある国産原子炉が成功すれば、流れが変わるかもしれないが、原発の問題は高い建設費用と安全性だ。人口が大きい中国ではどこに建てたとしても集住地域が近くにあり、安全面のリスクが高い。中国の国土は広いが、最終処分場をつくるメドもたっていない」

 −中国は自動車もガソリン車から電気自動車(EV)に転換する計画を発表しているが、発電以外の計画は。

 「二〇五〇年には大半の電気を非化石電力で賄うことになり、再生エネが中心になっているだろう。EVの電気も再生エネで賄うことになる」 (伊藤弘喜、池尾伸一、写真・由木直子)

<り・しゅんほう> 中国国家気候変動戦略研究・国際協力センター教授。同センターはエネルギー政策を研究し政府に助言している。過去には中国の国家戦略を立案する国家発展改革委員会のエネルギー研究所副所長も務め、政府の再生エネの関連法や中長期計画の立案に携わった。

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