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【経済】

物価2%の達成時期削除 日銀「看板」こっそり捨てる

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 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は十日に都内で行った講演で、政策目標とする物価上昇率2%の達成時期を削除したことについて、「物価目標の位置付けを変更したものではない」と説明した。しかし時期を約束して「将来物価が上がる」と人々の心理に働き掛けるのは、安倍政権が実施を求めてきたデフレ脱却政策の看板だ。その看板を「こっそり」捨てるという状況となっている。(渥美龍太)

 この日の講演で黒田総裁は「(これまでの)達成時期の記述は、あくまで見通し」と釈明したが、五年前の政策導入時は違った。「2%を二年程度の期間を念頭に、できるだけ早期に実現することを明確にコミット(約束)する」と強調していた。

 しかし黒田総裁は徐々に「二年」を言わなくなった。定期的に経済物価の見通しを示す「展望リポート」は、かつて2%の達成時期を表紙に書いていたが、二〇一六年に目立たない位置に変えられ、先月には削除に至った。

 世の中のお金の量を増やして物価を上げる方針も看板のはずだったが、一六年に「量を政策の目標にはしない」と方向転換。展望リポートに記載があった量の推移のグラフは、説明もなく削除している。

 もともと看板は金融緩和を推進する「リフレ派」の主張だ。日銀が十日に公表した四月会合の「主な意見」によると、達成時期の削除に「コミットメントを弱めかねない」と反対する声があった。リフレ派の政策委員の発言とみられる。

 リフレ派の政策委員は安倍政権が日銀に送り込んできたため、行内では「正面から議論を否定しにくい状況」(日銀幹部)。黒田総裁はこの日の講演でも「2%を早期に」との建前は崩しておらず、方向転換は中途半端なままだ。

 日本総研の河村小百合氏は「日銀はなし崩し的に当初の方針を捨てている状況」と解説し、「本来ならば政策の継続を求める政権の意向にかかわらず、はっきりと縮小を検討すべきだ」と提言している。 

 

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