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【経済】

TPP法案衆院通過 著作権保護 50→70年に

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 米国を除く十一カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)締結に必要な関連法案が二十四日午後の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。政府・与党は今国会での成立を急ぐが、野党は議論が不十分と反発しており、参院での審議が焦点になる。

 法案は、畜産物価格安定法や著作権法などの関連十法を一括して改正する。輸入品増加で影響を受ける畜産農家の赤字を補う制度の拡充や、著作権保護期間の延長などをTPP発効に合わせて実施できるようにする。

 協定の承認案は既に衆院が可決し、憲法の規定により成立が確定している。

 米国を除くTPPの関連法案が衆院本会議で可決された。関連法案の一つとして政府が提案した著作権法の改正は、新協定の発効と同時に、音楽や書籍などの著作権の保護期間を作者の死後五十年から七十年へと二十年延長する内容だ。新協定が発効すれば、古い作品を自由に楽しむことができる時期が二十年先に延びる。

 著作権の保護延長は、米国も加わっていた以前のTPPの交渉でメディア産業が強い米国の主張が通り、盛り込まれた。米国を除く十一カ国での新協定では、離脱した米国が戻るまでは実施しない「凍結」扱いとなっているが、政府は「著作権は欧米の七十年に合わせることがグローバルスタンダードだ」(交渉関係者)とし、旧協定の取り決め通り延長する。

 TPPの新協定は、六カ国以上が国内手続きを終えると発効する。日本は関連法案が参院で可決されれば、メキシコに次いで手続きが終わる。残る参加国での承認が滞らなければ、早ければ年内にも発効する見通しだ。

 二〇二一年には三島由紀夫、二三年には川端康成が死後五十年を迎える。著作権が切れると、作品の映画化や漫画化が自由にできたりネット上で作品が読める「青空文庫」で自由に楽しめたりするようになるが、協定が発効し保護期間が延長されると、こうした機会はさらに二十年延びる。

 著作権の保護延長について、知的財産問題に詳しい弁護士の福井健策氏は「米国が抜けた協定なのに、米国のメディア産業に利する改正をすることはおかしい。著作権が切れて古い作品に脚光が当たることも阻害し、死蔵作品を増やすだけだ」と批判する。

 日本の著作権使用料の国際収支は年々赤字が拡大しており、保護延長されれば古い作品を多く抱える欧米への支払いが増え、赤字が増える懸念もある。 (矢野修平)

 

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