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【経済】

日米貿易 新たな火種 米、車関税「最大25%」検討

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 米トランプ政権が二十三日、日本やドイツなど国外からの自動車の輸入に追加関税を課す調査を始めた。米メディアによると、現行の乗用車の輸入関税である2・5%の十倍となる最大25%の税率を検討している。日本にとって自動車は多くの雇用を生み出す基幹産業。追加関税が発動されれば日本経済に大きな打撃となるのは必至だ。 (矢野修平、ワシントン・白石亘)

■衝撃

 「偉大な自動車労働者に間もなく大きなニュースがあるだろう」

 トランプ米大統領は二十三日、自らのツイッターで誇らしげに宣言した。

 その上で、「米国は何十年も他の国に仕事を奪われ、十分長い間待ってきた」と強調した。米国は昨年、計八百三十万台の自動車を輸入した。一位のメキシコは二百四十万台、続くカナダは百八十万台で、日本からの輸入は三番目に多い百七十万台だ。

 トランプ氏は「国家安全保障上の脅威を与える」と商務省が判断すれば、輸入を制限できる米通商拡大法二三二条の発動を視野に入れる。だが、三月に鉄鋼とアルミニウムの追加関税を発動したのとは大きく事情が異なる。「鉄やアルミと違って、乗用車は米軍で広く使われているわけではない」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)と、安全保障を理由とした国内産業保護を疑問視する声が上がる。

 関税の引き上げは自動車販売価格の値上げにつながることから、米国際自動車ディーラー協会も「米国の消費者やディーラーの従業員にとって、経済的な災難になるだろう」と批判する声明を発表した。

 これだけの衝撃を国内に巻き起こしながらも、調査に踏み切ったトランプ氏。中間選挙が十一月に迫り、自らが大統領選で勝つ原動力となった中西部など、製造業が盛んだった地域の有権者への支持を取り付ける狙いは明らかだ。

■影響

 「安全保障を理由に関税をかけるのはちょっと信じられない。自動車だと、世界的な影響が大きい」

 日本商工会議所の三村明夫会頭は二十四日の記者会見で、困惑の表情を浮かべた。

 トランプ氏との「蜜月」関係をアピールしてきた安倍政権。しかし、保護主義的な政策を次々と打ち出す米国との貿易を巡る懸念材料は増えるばかりだ。

 四月の日米首脳会談では、貿易赤字を問題視するトランプ氏の意向を受ける形で新たな貿易協議の場の設置を決め、市場開放を迫られる懸念が高まっている。

 さらに、米国が三月に発動した鉄鋼、アルミニウムの輸入制限についても、日本が求めた適用除外は認められなかった。

 自動車に対する米国の一方的な関税引き上げは世界貿易機関(WTO)のルールに抵触する可能性が高い。世耕弘成(ひろしげ)経済産業相は二十四日、経産省内で記者団に対し「今後米側に、いかなる貿易上の措置もWTOに整合的であるべきだとしっかり伝えたい」と述べた。

 みずほ総研の安井明彦欧米調査部長は「鉄・アルミの追加関税では、多くの国が混乱を避けるためWTOに駆け込む前に米国と手を打った」と分析。「各国がバラバラで対応していると、WTOのような国際的なルールがますます形骸化する」と述べ、「米国第一主義」への対処の難しさを指摘している。

 

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