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【経済】

EU、個人情報保護強化 「忘れられる権利」も規定

 【ブリュッセル=共同】欧州連合(EU)は二十五日、個人情報保護を厳格化する新規則を施行した。企業などによる個人情報の域外移転を大幅に制限し、違反すれば巨額の制裁金を科される恐れがある。インターネット上の個人情報や閲覧履歴の消去など「忘れられる権利」も規定。デジタル時代の個人情報保護の世界標準となる可能性がある。

 新規則は「一般データ保護規則」(GDPR)と呼ばれ、EU加盟国にノルウェーなど三カ国を加えた三十一カ国で実施される。欧州に拠点がなくても取引がある企業・団体は順守が求められるため、影響は全世界に及ぶ。

 個人情報持ち出しは情報保護がEU並みの「適切な水準」にあるとEUが認定するスイスなどの国・地域向けか、個別要件を満たした場合のみ例外的に可能。日本は「適切」と認められていないが、日EUは互いの進出企業が現地で得た個人情報の柔軟な持ち出しを可能にすることで大枠合意しており、今夏にも実現する見通しだ。

 氏名や住所、メールアドレスなどの個人情報を収集する際は、目的を具体的に示し、相手の同意が必要。企業が欧州の支店から日本の本社に支店従業員の名簿や欧州の顧客リストを送ることは原則違法となる。

 制裁金は最高で世界の年間売上高の4%、または二千万ユーロ(約二十六億円)の高い方が科される。

 個人情報や閲覧履歴に基づくオンライン広告で巨大な利益を得る米グーグルや米フェイスブック(FB)の対応が注目されているが、FBは一日、閲覧履歴を利用者が消去できる機能を数カ月後に導入すると発表。ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は欧州議会で二十二日、新規則に「完全に対応する」と述べた。

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◆IT大手 順守を約束

 EUが施行した個人情報保護を強化する「一般データ保護規則」は、厳格な基準を幅広い業種に適用し、罰則も重い画期的な内容だ。フェイスブックやグーグルなどIT大手は順守を約束。米国や日本の規制論議にも影響しそうだ。

 「完全に対応するつもりだ」

 米交流サイト大手フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは二十二日、個人情報流出問題に絡んで訪れたEUの欧州議会で、GDPR施行に向け準備を進めてきたと説明した。

 GDPR発効に伴い、企業は情報活用の際に利用者への明確な説明が必要で、厳格な管理体制の整備が求められる。個人の特定につながる情報の域外移転を原則不可能にした。

 専門家レベッカ・ヘロルド氏によると、米国では個人情報を保護するための規制を巡り、一九九〇年代から米議会で議論されてきたが、反対論が根強く、広範な厳しい規制は医療分野に限定されている。しかし、フェイスブックの個人情報流出問題を受け、米議会でGDPRへの関心が高まっている。

 日本では昨年五月に改正個人情報保護法が全面施行され、独立性の高い第三者機関として個人情報保護委員会が本格的に始動。それまでは「プライバシー保護に関する国際的な議論の蚊帳の外に置かれていた」(政府関係者)が、ようやくスタートラインに立った。国外への個人情報の移転を制限する仕組みも導入した。

 EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングの梅沢泉パートナーは「EUの基準が世界でスタンダードとなり、日本においても、今後はこれを踏まえた法制化が進んでいくのではないか」と話す。 (ニューヨーク、ロンドン、東京・共同)

 

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