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【経済】

あなたの信用度をAIが審査 将来性まで分析、融資に活用

Jスコアではじき出されたスコアと融資可能額のサンプル画面=Jスコアのホームページより

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 信用できる人かどうかを人工知能(AI)が数値で示す「スコア」を使ったサービスが、始まっている。みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社「Jスコア」がスコアを基にした個人向け融資を展開し、順調な滑り出し。一方、先行する中国では会員制交流サイト(SNS)での交友関係までスコアに反映しており、行きすぎた監視社会になる恐れも指摘されている。 (吉田通夫)

 Jスコアは、利用者が職業や収入のほか、最大百五十の質問に答えると、AIが信用力を千点満点で数値化。すぐに融資可能額(最高一千万円)と金利をはじき出す。中には「人といる時、陽気に振る舞うほうか?」など性格診断のための質問も。従来の消費者金融と異なり、利用者の将来性も分析して融資額をはじき出すためだ。

 利用者がうそをついても、勤務先と年齢など他のデータに照らしてAIが見破る。実際に融資する際には源泉徴収票など年収を示す書類も求める。

 昨年九月のサービス開始から利用者は想定の二倍を超え、半年で約十五万人がスコアを算出。融資実績は非公開だが、大森隆一郎社長は「審査結果を数字で見えるようにしたことで、お金を借りることへのマイナスイメージが和らいでいる」と分析。「今後は外部企業もスコアを活用できるようにして、旅行や買い物で特典が得られるサービスを考えたい」と語る。

 一方、中国では二〇一五年から、IT企業アリババグループが電子決済サービス「アリペイ」の追加機能として「芝麻(ジーマ)信用」を開始。電子決済の履歴を通じて買い物傾向を細かく分析するほか、SNS上の交友関係などインターネット上の行動履歴まで捕捉し、AIが信用できる人物かどうか算出する。

 スコアが高いと低金利でお金を借りられるのはもちろん、飛行機に乗る際に特別な搭乗口を利用できたり、ホテル宿泊やレンタカーなど同国ではさまざまな場面で求められる「デポジット(預け金)」が不要になったりする。

 利用者は爆発的に増え、数億人といわれる。生活が数値で自動的に管理され、利用者がスコアを競う姿は近未来の監視社会を描いたSF映画さながら。だが、スコアが低いと就職で不利になったり、高級店に入れないなど差別的扱いを受けることもあり、「バーチャル・スラム(仮想現実での下流層)」の懸念も指摘されている。

 野村総研の柏木亮二上級研究員は「中国では社会を分断するリスクもはらむ」と指摘。「日本では個人情報に対する考え方も違い、ここまで極端な仕組みにはならないだろう」と語る。

 

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