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【経済】

日立、資金協議は難航も 英原発 交渉本格化に合意

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 日立製作所は五日、英中西部・ウェールズのアングルシー島で進める原発建設計画について、英政府との交渉本格化に合意したことを明らかにした。原発輸出を成長戦略に位置付ける安倍政権には一歩前進となるが、原発建設には数兆円の巨額費用がかかり、今後の資金負担の協議は難航しそうだ。

 日立は二〇一九年に着工の可否を最終判断し、二〇年代前半から稼働させる計画。その前提条件として、追加の建設費が膨らむリスクや事故の責任を自社だけで負わないよう、日英政府や電力会社などの事業参画を求めていた。これに対し英閣僚は四日、「日本の政府系機関や企業とともに直接投資を検討していく」と表明。日立側の懸念を一つ取り除いた格好だ。

 しかし東京電力福島第一原発事故後、原発の安全対策費が世界的に増えたことなどで、二基を建設する今回の事業費は三兆円規模に膨らんだ。約一兆円を日立、英国の政府と企業、日本の政府系金融機関や電力会社で三等分して出資し、残る約二兆円を英政府が融資する案が検討されているが、巨額の国費の投入には英国民や議会から反発も起きている。

 また建設コスト増の影響で、発電した電気は市場価格より高値で売らないと収益が見込めず、その差額分は英国民の負担になる見通し。一方で再生可能エネルギーは低価格化が進み、原発に対する風当たりは強まっている。日立も売電価格で英政府と折り合わない限り撤退する意向だ。

◆事業費3兆円調達 英が2兆円融資案

 日本政府と日立製作所が進める原発輸出を巡り、英政府と日立は交渉の本格化を表明しました。焦点は三兆円規模に膨らんだ巨額の事業費をどう調達するかですが、日英の政府が負担することに批判も出ています。 (妹尾聡太)

 Q どのような輸出計画ですか。

 A 日立は二〇一二年に事業を開始。早ければ一九年に原発二基の建設を開始し、二〇年代前半から発電事業も手掛けます。しかし、三兆円規模の事業費が追加工事でさらに膨らんだり、運転中に起きた事故の責任を負わされる可能性もあります。こうしたリスクを一社だけで背負わないよう、日立は日英の政府系金融機関や電力会社などの事業参画を求めました。これを受けて英国側が約二兆円を融資し、三千億円を出資する案が検討されています。

 Q 高額なのになぜ原発を建設するのですか。

 A 「低炭素化」のために原発を推進しているからです。英国には発電所ごとの売電価格を政府が保証する仕組みがあり、日立に先行するフランスと中国の企業連合の原発については一メガワット時当たり九十二・五ポンド(約一万三千五百円)を保証しています。

 しかしこの価格は一部の洋上風力発電(同約六十ポンド)の一・五倍以上で、英会計検査院は「コストが高すぎる」と批判しています。日立も「(仏中と)同じ水準の価格は難しい」(広報担当者)と値下げを受け入れ、英紙ガーディアンによると、保証価格は七十五〜七十七ポンドで検討中とされています。それでも再生可能エネルギーより高額であることは変わらず、英国民の負担増になります。

 Q 日本政府も投資するのですか。

 A 世耕弘成経済産業相は五日の記者会見で「可能性としては、日本政策投資銀行や国際協力銀行などを通した支援が想定される」と説明しました。いずれも全額政府出資の金融機関で、海外のインフラ事業にも資金を拠出しています。しかし、事故時の影響が甚大な原発を同じ「インフラ輸出」として扱うことには批判もあります。世界銀行は「リスクの大きさを測れない」との理由で原発に融資していません。

 

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