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【経済】

抑制が拡大路線に変質 財政再建5年先送り

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 政府は十五日、経済財政運営の指針となる「骨太の方針」を閣議決定した。二〇一九年十月から消費税率を10%に引き上げる方針を明記。増税に伴う消費の落ち込みを防ぐ対策の必要性を強調する一方、借金に頼らず政策の費用を賄えているかを示す財政再建目標の達成時期については、従来より五年遅い二〇二五年度に先延ばしした。人手不足への対応では、外国人労働者の受け入れを拡大するために新たな在留資格を設ける方針を示した。 (桐山純平)

 消費税率の引き上げについては社会保障費の安定財源確保のため「実現する必要がある」と明記。一方で増税による景気悪化を緩和するため一九、二〇両年度の当初予算で「臨時・特別の措置を講ずる」とし、住宅や自動車の購入支援策などを検討するとした。

 消費税増税に伴う税収の使い道では、増収分の五兆円のうち借金の抑制に使う分を減らし、幼児や大学など教育無償化に一部を使う。幼児については一九年十月から、大学では世帯年収三百八十万円未満を対象に二〇年四月から、それぞれ無償化に踏み切る。消費税による税収の使い道の変更や景気対策に伴う支出増が見込まれるため「基礎的財政収支」の黒字化の目標を先送りした。また、これまで設定していた社会保障費の伸びを抑える数値目標も盛り込まず、財政再建は後退。経済成長を優先する姿勢を鮮明にした。

 外国人労働者の受け入れ拡大では、一定の専門性や日本語の能力がある人材を対象に新たな在留資格を創設。最長で五年間の滞在を可能にした。

 このほか閣議では、成長戦略と規制改革実施計画も合わせて決定。自動運転の推進を後押しし、医療や介護などの分野で人工知能(AI)やITの活用を促すことを打ち出した。

◆疑惑続く中 成長追求

<解説> 骨太の方針は、経済成長を重視する安倍政権の「拡大路線」を明確に示す内容となった。経済財政諮問会議は以前とは姿を変え、社会保障改革の具体策に関する議論は深まっていない。

 諮問会議で初めて「骨太」の言葉が使われたのは二〇〇一年一月の会議。当時の森喜朗首相が「国民が将来に安心できる社会を形成するための処方箋、骨太の政策を明確にする」と発言した。

 会議を引き継いだ小泉純一郎首相はこの年の六月、骨太の方針の第一弾をまとめた。「痛みを伴う構造改革なくして持続的な成長はない」と強調。公共事業費を抑制し、新規国債の発行額を抑えた。

 対照的に安倍晋三首相は諮問会議で金融緩和や財政支出の拡大などを打ち出し、高い経済成長率を追求し続けている。一方で財政再建の達成目標は五年先送り。社会保障のあり方についても「国民的議論を喚起することが重要」と記すにとどまった。

 持続的な社会保障制度のために負担のあり方を議論しなければならない時期だが、森友学園への国有地売却を巡り八億円の値引きの真相が不透明なまま。成長戦略にかかわる獣医学部の新設では、特区選定の正当性が疑われる事態となっている。お金の使い方に対する国民の疑念を拭えない政府の下で、将来に向けた「骨太」な議論はできるのだろうか。 (白山泉)

 

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