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【経済】

原発輸出計画 開示後ろ向き 日立社長 株主に「英と守秘義務」

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 日立製作所による英国への原発輸出計画で、情報開示に後ろ向きな日立と日本政府の姿勢が目立っている。計画が失敗すれば、損失の穴埋めに日本の税金が投入される可能性もあるのに、事業の危険性をほとんど説明していない。識者は「情報公開と第三者による審査の場が必要だ」と指摘する。 (妹尾聡太)

 「英政府との守秘義務がある」。二十日に東京都内であった日立の株主総会。東原(ひがしはら)敏昭社長は原発輸出に関する株主の質問をかわした。英政府と日立は今月四日、事業費の分担について交渉の本格化で合意。それでも日立は総事業費の見通しを公表せず、世耕弘成経済産業相は「何も決まってない」と言い続けている。

 だが計画は国民負担発生の懸念をはらむ。金融関係者によると、原発二基を建設・運転する計画の原発会社には、日立や英政府の出資に加え、安倍政権の後押しを受けた政府系金融機関の日本政策投資銀行や国際協力銀行なども計三千億円を出資することが検討されているからだ。

 日本政府が出資する両行には、毎年の利益の一部を政府に配当することが義務付けられている。しかし約三兆円とみられる建設費が膨張するなどし原発が赤字となって両行の利益が減れば、配当が減ったり払えなくなる懸念が出てくる。これは税収減と同じで、国の収入の減少を意味する。

 事故もリスクだ。東京電力福島第一原発事故は賠償や除染、廃炉費用が二十一兆円を超える見通し。英国の現行法は、賠償額のうち一億四千万ポンド(約二百億円)を超えた部分については英政府や近隣国が補償すると定めるが、原発訴訟に詳しい河合弘之弁護士は「英国民がそれで許すとは思えない。(日本の政府系金融機関が出資する)原発事業会社にも訴訟を起こすのは確実」とみる。

 賠償や廃炉費で両行の資本金に穴があけば「最終的に税金で補填(ほてん)するのが政府系金融機関の構造」と政投銀の前身、旧日本開発銀行出身の高橋伸彰・立命館大教授は指摘する。

 日立は来年にも原発を建てるかの最終判断をする。原子力政策に詳しい長崎大の鈴木達治郎教授は「政府の指示で出資させるなら原発輸出の意義やリスクを国民に説明し、国会などがチェックする仕組みが必要だ」と主張する。

 

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