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【経済】

景況感悪化、2期連続 日銀短観 製造業、5年半ぶり

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 日銀が二日発表した六月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業経営者が今の景気をどう感じているかを示す業況判断指数(DI)は、代表的な指標の大企業製造業が三月の前回調査から三ポイント下落のプラス二一となり、五年半ぶりに二・四半期連続で悪化した。原油高に伴う原材料費の高騰や人手不足に加え、トランプ米大統領の保護主義による貿易摩擦への懸念が、景況感を悪化させた。

 DIは景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値。大企業製造業の業種別にみると、「石油・石炭製品」や「自動車」「非鉄金属」などの下落幅が大きい。三カ月後の景気をどうみるかを示す「先行きDI」は変化がなかった。

 一方、大企業非製造業の現状判断は一ポイント上昇のプラス二四と、一年ぶりに改善。「宿泊・飲食サービス」などが好調の一方、「小売」は大型連休の天候不順の影響により一一ポイント下落した。先行きは三ポイント悪化を見込んだ。

 中小企業の現状判断は、製造業が一ポイント下落のプラス一四、非製造業が二ポイント下落のプラス八で、いずれも二年ぶりの悪化となった。先行きはいずれも悪化を見込んだ。

◆米貿易摩擦の懸念 拡大

<解説> 日銀短観で製造業を中心に経営者の心理が悪化した背景の一つは、トランプ米大統領の保護主義に伴う貿易摩擦への懸念だ。原材料高や人手不足といった目の前の課題に加え、輸出主導で海外頼みの日本にとっては「トランプリスク」が現実の問題として認識されつつある。

 日本経済は製造業の大企業が円安を背景に輸出で引っ張っており、保護主義による関税の引き上げは直接の影響が及ぶ。特に主力の自動車産業は、仮にトランプ大統領が主張通りに追加関税を課した場合、二兆円を超えるコスト増につながるとの試算(大和総研)もある。

 米国の日本に対する方針は鉄鋼・アルミニウム以外では不透明な部分が多く、日銀による経営者への聞き取りでも「具体的な不安はそれほど聞こえてはいない」状況だ。しかし下請けの中小企業からは「コストが上がった大企業が、こちらに価格転嫁をしてくるかも」(都内経営者)と身構える声が漏れる。

 さらに問題なのはリスクが現実化したとき、政府に打つ手がほとんどないことだ。アベノミクスでは異例の金融緩和や財政の大盤振る舞いというカンフル剤を打ち続け、「弾切れ」に陥っている。

 戦後二番目の長さの好景気でも十分な賃上げが実現していないのは、経営者の将来への不安が根強いからだ。予測不能なトランプ流という新たなリスクが加わった今、経営者が慎重姿勢を強めれば、経済の好循環はさらに遠のく。  (渥美龍太)

 

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