東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

米、対中制裁関税を発動 知財侵害対抗25%上乗せ

 【ワシントン=白石亘、北京=安藤淳】トランプ米政権は六日、中国に対する制裁関税を発動した。中国から知的財産権を侵害されたとして、年間で三百四十億ドル(約三兆七千億円)に相当する中国からの輸入品に25%の追加関税を課す。中国政府も同規模の米国製品に報復関税をかけて対抗する方針。米中が制裁と報復を繰り返す「貿易戦争」に突入することになり、世界の二大経済大国が全面衝突する展開となった。

 米国側が制裁対象とするのは、自動車や産業機械など八百十八品目で、中国が産業振興に力を入れるハイテク製品を標的にした。中国側は、米政権与党・共和党の支持基盤が主な産地となる大豆や牛肉など五百四十五品目を対象に選んだ。

 米国側は第二弾の対中制裁として、百六十億ドル(約一兆七千億円)相当の中国製品二百八十四品目に追加関税を課す。トランプ氏は五日、第二弾の発動時期を「二週間後だ」と語った。

 トランプ氏は中国が米国に報復すれば、対中制裁の対象を最大でさらに四千億ドル(約四十四兆円)増やすことを検討していたが、五日に中国からの輸入総額に匹敵する五千億ドル(五十五兆円)に拡大する可能性を示唆。中国も一歩も引かない構えで、報復合戦がエスカレートする懸念から金融市場でも緊張感が高まる。

 米国による対中制裁は、外国の不公正な貿易慣行に一方的な制裁を講じる米通商法三〇一条に基づく。米企業が中国市場に進出するのと引き換えに中国企業に技術を教えるよう強要される知財侵害を問題視する。

 トランプ政権は三月、鉄鋼とアルミニウムに対する輸入制限を発動。対象国は当初の日本や中国などから、欧州連合(EU)やカナダなどに広がり、各国が米国に報復する保護主義的な動きが強まっている。

◆対日強硬策も現実味

<解説> 米中による二大経済大国の「貿易戦争」が、懸念から現実のものとなった。貿易相手国から譲歩を引き出そうと制裁関税を連発するトランプ大統領は、「世界の貿易に第二次世界大戦後で最大の脅威をもたらした」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)とも評されており、世界経済に暗い影を落とす。

 米経済界には「関税は消費者や企業に負担を強いるもので増税と同じ」(全米商工会議所)と反対意見が多い。欧州連合(EU)による報復の影響を避けようと、米国の象徴と言える米二輪車メーカーのハーレー・ダビッドソンは生産の一部を海外に移す決断をした。

 トランプ関税の副作用はブーメランのように米国経済に跳ね返るだけでなく、国境をまたぐ企業のサプライチェーン(部品の供給網)を傷つけ、経済活動を縮小させる。「貿易戦争に勝者はいない」と言われるゆえんだが、それでもトランプ氏は秋の中間選挙に向け有権者にアピールしようと強硬姿勢に拍車をかける。

 対中制裁の発動が示すのは、トランプ氏がちらつかせる関税が、交渉を有利に運ぶための単なる脅しではないことだ。日本にとってはトランプ政権が検討中の輸入車に対する最大25%の追加関税も現実味を帯びてくる。影響は鉄鋼・アルミニウムの輸入制限と比べてもケタ違いに大きく、日本政府は対米通商戦略をしっかり描く必要がありそうだ。 (ワシントン・白石亘)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報