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【経済】

ウナギ保護 キモは太さ 2倍に育てて稚魚有効活用

高知県土佐市の山本養鰻が「太化」に取り組んだウナギのかば焼き(上)と細いかば焼き

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 土用の丑(うし)の日(二十日、八月一日)が近づき、夏バテ防止にウナギを食べる人が増えてきた。しかし今年は、養殖で使う稚魚が記録的な不漁で、うな重などの値上げが相次ぐ。そんな中、養殖業者がこれまでの二倍の大きさに育てる「太化(ふとか)」に取り組んだり、小売り各社がウナギの代わりになりそうな料理を提案したりするなど、資源保護の動きが広がっている。 (須藤恵里)

 「稚魚を有効活用するにはウナギを太く育てればいい」。高知県土佐市の「山本養鰻(ようまん)」の川村寛二社長(56)は、二〇一六年から本格的に太化を始めた。通常一年三カ月ほどの飼育期間を二年に延長。大きなウナギは骨が太く皮も厚くなりやすいため、餌のカルシウム分を少なくしたり、育てる水温を変えたりした結果、通常の倍の四百グラムでもやわらかく、食べやすいウナギを実現した。

 東京都千代田区のウナギ料理専門店「うなぎ炙一徹(あぶりいってつ)」は今月から、山本養鰻の太化ウナギを使ったうな重(三千円)の販売を始めた。記者が食べてみると、肉厚だが皮はやわらかく、骨は気にならない。味はさっぱりしていた。

 同店は今年二月まで九州産の通常サイズを使っていた。しかし、二月下旬にウナギの仕入れ値が一匹約千二百円から約二千円に高騰した。値上げも検討したが、一匹で二人前のうな重を提供できる太化ウナギを使うことで、資源保護を図るとともに値段を据え置くことができた。

 小売業界では、イオン(千葉)が絶滅の恐れのあるニホンウナギの販売で、二三年までに生産者や流通経路が明らかなウナギだけを扱うことを目指している。また世界自然保護基金(WWF)ジャパンと連携し、準絶滅危惧種のインドネシアウナギの保全にも乗り出す。

 食料品などの宅配大手「らでぃっしゅぼーや」(東京)は六月に都内で、ウナギの代替商品の試食会を開いた。サンマのかば焼きのほか、スタミナが付く牛ステーキや、疲れが取れる梅干しなどを紹介した。参加した主婦の飯田菜花さん(24)=東京都港区=は「少しの我慢とアイデアで将来までウナギを食べ続けられるなら、こういうのもありですね」と笑顔を見せた。

 同社の藤巻啓二取締役は「資源の枯渇が心配される一方で、土用の丑の日に大量のかば焼きを製造し、売れ残ったら廃棄されている現状も問題だ」と指摘している。

<ウナギの絶滅危機> 日本や中国など東アジア沿岸の川に生息するニホンウナギは、養殖に使う稚魚(シラスウナギ)の乱獲や地球温暖化の影響で激減している。水産庁によると、今年日本で養殖場に供給されたシラスウナギは、輸入も含めて計14.2トン(昨年は19.6トン)で、歴史的な不漁だった2013年(12.6トン)以来の少なさ。国際自然保護連合(IUCN)は14年、ニホンウナギを「絶滅危惧種」に指定。ほかの種類のウナギも激減しており、特にヨーロッパウナギは既にワシントン条約で国際取引が規制されている。

 

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