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【経済】

EU、米に大幅譲歩 大豆輸入増で車関税回避

 トランプ米大統領と欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は二十五日、米ホワイトハウスで会談し、EU側の最大の懸案だった欧州車に対する追加関税は当面、見送られた。激化する貿易摩擦に歯止めがかかったかにみえるが、欧州側は大幅な譲歩を余儀なくされた。この後に米国との貿易協議を控える日本にとっては厳しい交渉が待ち構えている。 (矢野修平、アメリカ総局・白石亘、ヨーロッパ総局・阿部伸哉)

 「EUはすぐに中西部の農家からたくさんの大豆を買ってくれる。ありがとう」

 トランプ氏はホワイトハウスの共同記者会見で、特に大豆の輸入増を取り上げ、ユンケル欧州委員長に感謝の言葉を述べた。

 米国産の大豆は中国から報復の標的にされ、価格が急落。農家の打撃を和らげようと、百二十億ドル(一兆三千億円)の支援策を二十四日に発表したばかりだった。これに対し、与党・共和党議員からは「支援でなく貿易を望む」と批判が噴出。トランプ氏は窮地に立たされていた。

 「打開策だ。世界経済にとってすばらしい」。欧州きっての自動車大国ドイツのアルトマイヤー経済・エネルギー相は、自動車問題を当面、棚上げにした合意に、ツイッターで喜びを発信した。

 ユンケル氏は訪米前、報道官を通じ「新たな貿易の提案はない」と明言していた。しかし、この結果を引き出すため、EU側は米国産大豆の輸入増に応じる奇策に打って出た。トランプ氏を効果的に懐柔する政治判断だ。

 EUがトランプ氏との「ディール(取引)」に応じ、「管理貿易」に傾いたともいえるが、今後も譲歩を含む政治的なカードを切り続けるとみられる。

 日米貿易協議を七月下旬〜八月上旬にも控え、菅義偉官房長官は二十六日の記者会見で「米国とEUが自由貿易の推進に取り組むことは前向きに評価したい」と期待を寄せた。

 しかし、EUの譲歩を引き出したトランプ政権にすれば、自動車メーカーに大きな打撃となる輸入車関税の威力があらためて実証された形だ。

 輸入車関税を交渉カードとしてフルに活用して、日本や韓国、メキシコ、カナダなど自動車の対米輸出が多い国々に対して、譲歩を迫る戦略を加速させる。

 大和総研シニアエコノミストの長内智氏は「日本は自動車の関税はゼロだが農作物は高関税が残っており、弱点だ。米国から農業分野で攻勢を受ける懸念が強まってきた」と警鐘を鳴らす。

 

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