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【経済】

誤差年1秒 平和の証し 100周年シチズン 駆動装置開発

戦時中の大日本時計(現・シチズン時計)田無工場の製造風景=シチズン時計提供

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 創業百周年を今年迎えたシチズン時計は、年間誤差が一秒という世界最高水準の精度に相当するクオーツ時計=イメージ画像=の駆動装置を開発した。戦中戦後の人手不足で品質低下を招いた苦難を乗り越え、世界ブランドにもなった同社技術の集大成といえる。 (瀬戸勝之)

 クオーツ時計は水晶に電圧を加えると起きる振動で動く仕組み。ただ、水晶が気温や重力の変化の影響を受けるので、同社の最高クラスの時計でも年間誤差が三秒生じてしまう。新たな駆動装置ではスマホにも使われる高性能な水晶を省エネ設計で時計にも活用可能にし、精度を上げることに成功。二〇一九年度中に発売されるソーラー式腕時計に組み込まれる。

 同社は一九一八(大正七)年設立の「尚工舎(しょうこうしゃ)時計研究所」が起源で、苦労の末に開発した第一号の懐中時計の商品名「シチズン」が社名の由来。東京市長だった後藤新平氏が「永く市民に愛されるように」との願いを込めた。

シチズン時計提供

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 日中戦争以降、「敵性語」として英語を排斥する風潮が強まり、三八年に「大日本時計」へと社名の変更を余儀なくされる。軍需工場として爆弾の部品の生産をしつつ将来の発展を見据え、少量ながらも時計の生産を続けた。

 だが、労働力や資材の不足が深刻になる中で時計の品質は悪化する。終戦後はシチズンに社名を戻し、他社に先駆けて時計の生産を本格化したが技術者を十分確保できず、性能の評判は芳しくなかった。 

 危機感を抱いた同社は精度の向上を急ぎ、生産現場での寸法の単位を百分の一ミリから一千分の一ミリに変え、自社で測定器を開発。技術陣や工作機械も充実させて、ソーラー式腕時計などを業界に先駆けて投入し、技術力と名声を確立した。

 同社シチズン史料室の坂巻靖之室長は「平和な時代だからこそ技術開発に専念できる。精度の追求は時計メーカーの誇りであり、向上心に磨きをかけて社会に貢献していきたい」と話している。

 

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