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【経済】

景気減速警戒 緩む財政規律 概算要求 最大水準

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 二〇一九年度予算の概算要求が三十一日、締め切られたのを受け、財務省は査定作業を本格化させる。最大の焦点は、今回盛り込まれなかった来年十月に予定する消費税率10%への引き上げに伴う景気の下支え策だ。首相官邸が増税後の消費減速を警戒しているのに加え、来年夏に参院選を控える与党内では大規模な財政出動を求める声が強まっている。既に先進国で最悪の財政は、さらに悪化する懸念がある。 (渥美龍太)

 「消費税を上げて景気後退を招けば、政策は失敗だ。きちんとした対応を当初予算からやる」。麻生太郎財務相は概算要求の締め切りに先立つ二十七日、予算査定を担う主計官を集めた会議でこう宣言した。財政規律を重視する立場の閣僚が、歳出拡大を認めるような訓示をするのは異例だ。

 発言の背景にあるのは、四年前のトラウマ(心的外傷)だ。安倍政権は一四年四月、消費税率を5%から8%に引き上げた。景気悪化を防ごうと、五兆円規模の経済対策を組んだが、個人消費が想定以上に冷え込み、一四年度の実質成長率は五年ぶりのマイナスに転じた。

 その二の舞いを避けるため、来年の増税にあたっては景気の下支え策を徹底する。税制では、価格が高い自動車や住宅の購入を促す優遇措置を検討している。一方、予算については概算要求と別枠で検討されることとなり、「どこまで膨らむか読めない」(財務省幹部)状況だ。

 ただ、巨額の国費を投じる対策の必要性には疑問符もつく。日銀の試算によると、増税に伴う家計負担の増加額は一四年が八兆円だった。今回は食料品などに軽減税率が適用され、税収の使い道も教育無償化などが追加されることから、二兆二千億円にとどまる。

 それでも政府・与党内に大規模な経済対策を求める声が強いのは、来年春の統一地方選、夏の参院選への影響を抑えたいからだ。自民党の二階俊博幹事長の派閥は党総裁選で支持する安倍晋三首相に対し、「国土強靱(きょうじん)化」の推進を提言。党内の若手議員グループは二十兆〜三十兆円の経済対策を求めている。

 世界的な好景気にもかかわらず、安倍政権は切れ目なく、大きな経済対策を講じてきた。その上、一九年度当初予算は初の百兆円超えが視野に入るなど、財政規律の緩みが止まらない。

 日本総研の河村小百合氏は「一時的な景気落ち込みを恐れ、巨額の経済対策を積むのでは増税の意味がない。財政への危機感があまりに薄い」と指摘する。

 

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