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【経済】

トランプ政権の保護主義を危惧 当時の財務官・篠原尚之氏

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 財務省の国際金融部門トップだった元財務官の篠原尚之氏は本紙の取材に、日米欧を中心とした当時の協調体制が金融危機の火消しに功を奏したと振り返った。一方、将来の危機に向け、国際協調を崩しかねない米トランプ政権の保護主義的な動向に懸念を示す。 (聞き手・生島章弘、桐山純平)

 −日本はリーマン・ショックを引き起こした米サブプライム住宅ローン問題をどう見ていたのか。

 「対岸の火事という感じだった。日本の金融機関はサブプライム関連商品をほとんど持っていなかったので、国内への影響は限定的だと思っていた。リーマンが経営破綻するまで、この問題についても当時の首相と話した記憶はない」

 −危機感が薄かった背景は。

 「米当局には慢心があり、『金融機関は健全だ』『しっかり監督している』と繰り返していた。われわれも内実は分からず、そうした説明をかなり素直に聞き入れていた」

 −リーマン・ショック後、日本政府の対応は万全だったか。

 「世界の貿易量があれほど急減するとは予想しておらず対応が遅れた。二〇〇八年十、十一月ごろになって事態の深刻さに気付き始めたが、既に国の借金が多かったため、当初は大規模な財政支出を躊躇(ちゅうちょ)する雰囲気もあった」

 −危機対応では各国の足並みがそろった。日本が果たした役割は。

 「国際協調は金融緩和・財政出動、金融規制、保護貿易反対の三本柱だったが、非常にうまくいった。各国とも一九三〇年代の大恐慌を再現してはいけないという認識で一致していたことが大きい。当時のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長ら米当局者にはことあるごとに、(九〇年代の)日本のバブル崩壊と銀行の不良債権処理の経験を伝えていた」

 −再び危機が起こった場合、日本や国際社会は十年前の教訓を生かして対応できるか。

 「日本を含め、十年たっても金融政策は正常化せず、財政赤字も膨らんでいる。トランプ大統領の米政権は保護主義を強め、各国と協調する姿を想像しにくい。危惧を抱かざるを得ない」

<しのはら・なおゆき> 1975年4月、大蔵省(現財務省)入り。国際局長などを歴任し、2007年7月から09年7月まで財務官。10年2月から5年間、国際通貨基金(IMF)副専務理事を務めた。

 

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