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【経済】

TPP、12月30日発効 6カ国批准

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 日本政府は三十一日、米国を除く環太平洋連携協定(TPP)が十二月三十日に発効すると発表した。米国が保護主義を強める中、世界最大規模の自由貿易圏が誕生することになる。発効と同時に、批准(国内承認)の手続きを完了した国との間で幅広い工業品や農産品の関税が引き下げられる。

 発効には参加国十一カ国のうち六カ国で国内手続きを終える必要があり、既に完了したメキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダに続いて三十一日、オーストラリアが手続きを終えた。来月中旬にはベトナムも国内手続きを終える見通しだ。

 茂木敏充経済再生担当相は同日午前に開いた記者会見で「米国離脱で一時、漂流するとの懸念もあったが十一カ国が結束を保ち、まとめようとの強い意志があった」と話した。

 今後は、年明け早々にも閣僚級の「TPP委員会」を日本で開催し、タイやコロンビアなどの新規加盟国の扱いなどを議論する。

 発効後、日本の輸入量全体の約五割を占めるオーストラリア産牛肉は関税が現在の29・3%から十六年目で9%まで削減されるなど農産物を中心に関税が下がる。日本の消費者への恩恵がある一方で、国内生産者は厳しい競争を迫られる。カナダへ輸出する自動車は6・1%の関税が五年目に撤廃される。日本は来年二月一日に発効が見込まれる欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)と合わせ、多国間貿易の枠組み拡大を進める。

 今後、参加十一カ国の手続きが終われば人口五億人、世界の国内総生産(GDP)の13%を占める経済圏が生まれる。日本政府は発効によりGDP約七兆八千億円の押し上げを見込む。農産品は売り上げが約千五百億円減ると試算する。

<解説>早期発効 米硬化の恐れも

 米国を除く環太平洋連携協定(TPP)が、米国離脱後二年で発効に至った。参加各国が国内手続きを急いだのは、保護主義を強める米国への警戒感があった。

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 「米国第一」を掲げるトランプ米政権は、中国や欧州からの輸入制限や市場開放圧力を強化。TPPも「ひどい内容だ」と全否定し、国力が反映できる二国間取引を参加各国に求めてきた。

 日本はTPPを米国の圧力をかわす「防御壁」と位置付けて議論を主導し、協定はなんとか維持できた。しかし米国へのけん制効果は薄く、米国の強い要望に押される形で来年初めにも二国間での新たな貿易交渉に入ることとなった。

 米国は日本の農産品で「TPP以上」の関税引き下げを迫る見通しだ。これに対し、日本は、TPP以上の譲歩をすれば米国のTPP復帰の目が消えるため、「TPPが最大限」とのラインを死守する構えだ。

 だが、TPP発効で米国産の牛肉や豚肉は日本市場で不利になり、米国農家の不満を背景に、米国の市場開放圧力は強まりそうだ。

 関税を相互に引き下げ、域内全体に経済的な恩恵をもたらそうとする多国間協定の理念は、自国だけに有利な「ディール」を求める米国の保護主義に直面し、形骸化の危機に瀕している。 (矢野修平)

<TPP11> アジア太平洋地域の12カ国が2016年に署名した環太平洋連携協定(TPP)から米国が離脱したことに伴ってまとめ直した新たな協定。農産品や工業製品の関税だけでなく、知的財産や投資などの幅広いルールも扱っている。米国以外の11カ国は元の協定の効力を一部凍結することで合意し、18年3月に署名した。国内手続きを終えた国が過半の6カ国以上になると60日後に発効する。

 

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