東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

格差是正より株高重視? 与党 金融所得への増税見送り

写真

 自民、公明両党は、株式の売却益や配当といった金融所得に課す税率引き上げについて、二〇一九年度税制改正で議論しない方針を決めた。投資家が増税を嫌って取引を控え、株価下落につながるのを避ける狙いがあるとみられる。ただ、大多数の国民は株を持っておらず、来年十月に消費税増税を控える中、格差是正が図られないことに不満が高まりそうだ。 (渥美龍太)

 所得税は所得が高くなるほど税率も上がる「累進課税」で、最高税率は55%(個人住民税含む)。だが、金融所得に関しては基本的に、給与など他の所得と切り離して課税され、税率は一律20%となっている。

 この仕組みでは、株売買を通じ多額の利益を出す富裕層は、所得税をあまり納めなくて済む。国税庁の一六年調査によると、所得が五千万〜一億円の場合、所得税の負担率が28・8%なのに対して五億〜十億円が22・6%、百億円超になると15・9%と巨額所得者ほど負担率が下がっている。富裕層は金融資産をもとに株売買を通じて所得を得ている割合が大きいためだ。

 与党は昨年末にまとめた一八年度の税制改正大綱で、「税負担の公平性を確保」などを目的に金融所得課税のあり方を検討すると明記。これを受け財務省は今年の議論で方向性を出したい考えもあったが、与党が難色を示した。財務省幹部は「株価が下がることへの懸念が非常に強かった」と言う。

 議論を避ける背景には、安倍政権の株価重視の姿勢がある。日銀は株高をもたらす金融緩和を大規模に続け、中央銀行として異例の株買いまで行っているほか、政府は基礎年金の積立金を使った株への巨額投資も主導した。来年は統一地方選や参院選が相次ぐことから、株式市場を冷え込ませかねない税制の見直しに二の足を踏んでいる。

 しかし、日本証券業協会によると、株を持つ人の割合は国民の一割超にすぎず株価変動の影響を直接受けるのはごく一部。慶応大の土居丈朗教授は「金融所得への増税は税制によって格差の是正ができる数少ない分野。積極的に議論すべきだ」と提言する。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報