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【経済】

アジアと賃金格差縮小 外国人、募集しても来ない?

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 アジア各国と日本の賃金格差が近年、急速に縮んでいることが民間シンクタンクの調べで明らかになった。外国人労働者の受け入れ拡大を目指す入管難民法などの改正案が二十一日、実質審議を開始。政府や経済界は外国人労働者が「呼べば来る」ことを前提にしているが、賃金格差が縮小する中、「安い労働力」として外国人に依存するモデルだけでは早晩行き詰まりそうだ。 (木村留美)

 第一生命経済研究所の試算によると、多くの労働者が日本に来ている中国との最低賃金の差は〇五年には一四・四倍だったが一六年には三・九倍にまで縮小。さらに二二年には二・七倍にまで縮小する推計だ。日本の最低賃金がほとんど増えない一方で、中国は経済成長に伴い賃金が上昇しているためだ。

 試算した星野卓也氏は「経済成長に伴い、中国人にとって既に『日本に来れば稼げる』という状況ではなくなっている」と解説する。技能実習生などは渡航費用や語学などの研修費用を負担して来日するため、これらの費用を引くと、現状程度の格差では手取りが少なく「割に合わなくなりつつある」というのだ。

 ベトナムは一六年に二三・五倍、ネパールは一四・一倍と依然、日本との賃金格差は大きい。だが、こうした国でも今後は急速に縮まりベトナムとは二二年に一二・五倍に、ネパールとは七・六倍まで縮小する推計だ。

 変化は来日する外国人労働者の出身の内訳にも表れる。厚生労働省の調査によると、一二〜一六年の間にベトナムは六倍以上に急増。ネパールも六倍に迫る増加となっているが、中国は16%の増加にとどまり、増加ペースにブレーキがかかりつつある。

 賃金格差の縮小を実感している経営者もいる。西日本で縫製工場を営む男性経営者は二十年前から中国人の労働者を雇用してきたが最近日本人に切り替えた。「こちらの提示した金額と、中国の人たちの希望金額が合わず、募集をかけても来なくなった」ためだ。

 さらに働き手を求めているのは日本だけではない。外国人技能実習生受け入れ機関の関係者は「韓国や台湾の企業もベトナム人の労働者を求めており、これらの国と獲得競争が始まっている」と証言する。

 星野氏は「呼べば来てくれるという状況は永遠でなく、日本に来てきちんと学べるものがあるかどうかが重要になる」と話している。

 

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