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【経済】

TPPが発効 輸出追い風、国内農業試練

 日本を含む十一カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)が三十日発効した。世界の国内総生産(GDP)の13%を占め、域内人口が五億人を超える新たな経済圏が誕生。米中がお互いの通商政策を批判して追加関税の応酬を繰り広げるなど世界で保護主義が拡大する中、対抗軸となる自由貿易圏を目指す。将来的に域内の農産物や工業品の95%超の品目で関税を撤廃する。来年二月には欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)も発効し、日本の通商戦略は新たな局面を迎える。

 TPP発効は日本にとって自動車などの工業品輸出に追い風となり、食品の値下がりも期待できる。だが牛肉や豚肉を中心とした安い農産物の流入は国内農業には試練となる。国による支援策に加え、農家には競争力強化や海外展開が求められる。

 日本、メキシコ、シンガポール、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの六カ国で三十日に発効し、工業品や農産物の関税を撤廃や削減するほか、貿易や投資に関する共通のルールを開始。残る各国も順次、手続きを進めている。今後は参加国の拡大を目指し世界での存在感を高める。タイや英国が加盟を検討している。来年一月十九日には発効後初の閣僚級会合を東京で開く。

 TPP発効後は、日本は工業品や農産物を含む全品目ベースで95%超が関税撤廃に向かう。農産物はコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖(甘味資源作物)の重要な五分野を関税撤廃の例外とした。

 来年は米国と関税を巡る二国間交渉が始まり、牛肉や豚肉、自動車などが主要な議題となる。二〇一七年にTPPから離脱した米国の農産物は域内で関税引き下げの恩恵を受けられないため、欧州産などと比べて不利になる。

 米国は国内の業界団体に配慮し、早期決着を目指す。日本は米国の焦りを誘って交渉を優位に進めたい考えだ。TPPへの復帰も促す。自由貿易圏の形成は、影響力を高める中国対策の意味合いも強い。今後は加盟国を増やし、TPPのルールを世界標準にすることを目指す。

<環太平洋連携協定(TPP)> アジア太平洋地域の国が参加する経済連携協定(EPA)。当初は米国を含む12カ国が署名したが、保護主義的な通商政策を掲げるトランプ政権誕生に伴って離脱。残る11カ国で新協定をまとめ直し、今年3月に署名した。国内手続きを早く済ませた日本、メキシコ、シンガポール、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの6カ国でまず発効する。ベトナムも来年1月14日に発効、残るペルー、チリ、ブルネイ、マレーシアも手続きを進める。

 

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