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【経済】

習氏と会談「予定ない」 トランプ氏、貿易協議巡り

 【ワシントン=白石亘】トランプ米大統領は七日、米中貿易協議の決着に向けた首脳会談を交渉期限の三月一日までに開く予定はないとの考えを示した。トランプ政権は期限までに合意できなければ二千億ドル(約二十二兆円)相当の中国製品に課す関税を10%から25%に引き上げる方針。期限は迫るが、米中双方の立場の隔たりは依然大きい。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、米中間では合意文書の草案さえできておらず、米国側がこだわる合意事項を中国側が履行しているか検証する仕組みにも、中国は抵抗しているという。具体化すべき作業が多く残る中、トランプ氏は首脳会談をセットするのは時期尚早との判断に傾いたとみられる。米中協議の先行きが不透明になったとして、ニューヨーク株式市場のダウ工業株三十種平均の七日終値は、前日比二二〇ドル安と二週間ぶりの下落幅となった。

◆米中関係「新冷戦」ではない ハーバード大名誉教授・エズラ・ボーゲル氏に聞く

「日本が米中の懸け橋に」と訴えるエズラ・ボーゲル氏

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 トランプ米大統領が米国第一で対中強硬策を進める中、米中は互いの製品に高関税を課す貿易摩擦に加え、軍事やハイテク分野を巡る覇権争いも先鋭化している。一九七九年の国交樹立から四十年で過去最悪とされる米中関係の行方について、中国研究の権威であるハーバード大学のエズラ・ボーゲル名誉教授(88)に聞いた。(米東部マサチューセッツ州ケンブリッジで、後藤孝好、写真も)

 −悪化した米中関係は「新冷戦」とも呼ばれる。

 「一九八〇年代から毎年訪中しているが、今の雰囲気はこれまでと比べても非常に悪い。トランプ大統領と習近平(しゅうきんぺい)国家主席の個人的な関係は悪くないが、国同士のまともな話し合いができていない。ただ、人的交流がなかった米ソ冷戦時代とは違う。約三十五万人の中国人留学生が米国で学び、経済面でも合弁会社は多い。両国は密接に絡み合っており、新冷戦ではないと思う」

 −貿易問題で対立が深まっている。

 「日本が八〇年代、経済的に強くなり、米国が非関税障壁を問題視した状況に似ている。米国は、経済成長した中国が知的財産を盗み、国内で自由に企業活動をさせないのは不公平だと怒っている。外国企業に対する強制的な技術移転の問題も大きい。ボルトン大統領補佐官ら政権の強硬派の対応は問題だが、共和、民主両方とも中国バッシングをしている状態だ」

 −解決策を見いだせるか。

 「中国は報復関税を同規模か小さめに抑え、過剰反応を避けている。(経済摩擦が大きくなれば)経済成長が続かないという心配が大きいからだ。米国が反発した(ハイテク産業育成策の)中国製造2025も方針を変える可能性はある。三月一日までの交渉期限を延長して協議を重ねるかもしれないが、関税措置は全てなくならなくても良い方向へ向かうだろう」

 −軍拡競争も激しい。

 「中国は軍事力を増強し、南シナ海で秘密裏に軍事施設を造り、米国が不信感を募らせた。トランプ氏も台湾政策で、従来の米中間の合意を守らないような対応をして、台湾問題で絶対に譲れない中国が反発している。危ない状況で楽観できない。戦争にはならなくても、台湾近海や南シナ海で偶発的な衝突が心配だ」

 −日本の役割は。

 「私は長年、日本が東と西の懸け橋になるべきだと言い続けてきた。安倍晋三首相が訪中し、習氏の来日予定があるなど、日中関係は少し良くなりつつある。米中関係は非常に悪くなる可能性がある中、冷静に考えるよう双方に伝えることができれば良い」

<エズラ・ボーゲル> 1930年7月、米オハイオ州生まれ。67年ハーバード大教授に就任。79年に日本繁栄の理由を探る著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」がベストセラーに。

 

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