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【教育ニュース】

3年後本番 大学入試新テスト試行 出題形式がらりで戸惑う高校生

記述式問題の解答用紙と国語と数学I・Aの問題冊子

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 大学入試センター試験を衣替えする新たな「共通テスト」の試行調査の問題が四日公表された。目玉の記述式だけでなく、マークシート式も出題形式が変貌。学校現場に思考力重視の授業へとかじを切るよう迫る意図が見えたが、調査に臨んだ高校生からは変化に戸惑う声が漏れる。本番まであと三年余り。授業改革と同時に、出題する側も問題の分量や難易度の調整を、ぎりぎりまで続けることになりそうだ。

◆脱・暗記科目

 「時間配分が難しかった」。試行調査の国語に挑んだ東京都立桜修館中等教育学校の男子生徒(16)の感想だ。

 国語では八十〜百二十字の長文と五十字、二十五字の短文を書かせる記述式計三問が出た。試験時間はセンター試験より二十分長い百分だが、この生徒は記述式を解くのに三十分程度かかったといい、余裕はなかったようだ。

 従来型のマーク式問題でも新機軸が打ち出された。世界史Bでは、本来は日本史で扱う「漢委奴国王」の金印が一問目に登場。絵画や写真、地図を取り上げた問題が大幅に増えた。

 大手予備校の担当者は「歴史科目は暗記した知識を問うのが中心だったのに、今回は教科書に載っていない資料も出てきた。センスや考察力を見る形式に、がらりと変わった」と驚く。

◆負担増?

 共通テストへの衣替えは、学校の授業を知識偏重から思考力、判断力、表現力の重視へと転換させたいという理念からスタートした一大事業だ。センターの担当者も、今回の出題の狙いを「粘り強く考えて解く“探求型”の問題を意識した」と説明する。

 こうした変化への受け止めは、さまざまだ。都内進学校の国語教諭は「形式は変わったが、問題自体はそれほど難しくなく、訓練すれば大丈夫」と自信を見せる。

 駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長は「国立難関大を目指す生徒にとっては、そんなに苦にならないレベルだ」とする一方「どの科目もかなりの読解力が必要で、時間が足りなくなる生徒が続出するのではないか。地方大などを受ける生徒には相当負担が重いだろう」と指摘する。

◆時間限られ

 今回の調査では国語、数学などがセンター試験と比べて問題冊子が分厚くなった。生徒が読み込む問題文や資料は、その分増えたことになる。石原部長は「本番もこの分量や難易度のままだと、国立大から私立大に流れたり、受験自体を諦めたりする生徒が増えるのでは」と予測した。

 センターは問題の分量や難易度のバランスなどを今後調整していくが、二〇二一年一月の本番までに残された時間は限られている。

 教育ジャーナリストの友野伸一郎さんは「不確かな未来を生きる子どもたちのため、思考力や判断力を重視する教育は必要で、高校教育や大学入試も変革していくのは当然のことだ。今回の結果を踏まえて『もっとこうしたらいい』と共通テストの問題や仕組みを改善していく前向きな議論が欠かせない」と話した。

 

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