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【NIE】

<新聞から学んだこと 加藤寛一郎>伸び伸びした国に

人口減問題を英語で記した5月7日の東京新聞こども面「世界を読もう」

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 毎朝、マクドナルドで原稿を書く。常連の一人から都議会政党のパンフレットを渡された。「議員報酬を削減」「身を切る改革」の大きな文字。同じことは以前、国会議員についても言われた。

 自らを律し、反対しにくい。しかし国を先導する人たちの報酬を減じたら、優れた人材が集まりにくいのでは。長期に見れば、国の発展を妨げると思う。

 もう一例。「『残業社会』を変えたい」。四月十六日東京新聞社説の見出し。過労死は悲惨だ。モーレツ残業は健康を害す。しかし、仕事が恋人という人間もいる。

 日本は自制や規制で満ちている。みな正義を支える手だてで、反対しにくい。しかし社会の活気を失わせる一因ではないか。活気のなさは、人口減に現れていると思う。「日本の人口は二〇六五年に八千八百八万人に減少し、一五年から約三割少なくなると推定される」(五月七日東京新聞「世界を読もう」)。

 かつて日本にも、伸びらかな時代があった。私ごとで恐縮だが、一九六〇年代前半、私は岐阜の川崎航空(当時)で働いていた。私だけは毎日、定時(午後二時五十分)で退社し、独身寮で自分のための仕事を、毎晩六時間ほどしていた。

 当時はコンピューターの導入期で、使用は順番待ちを強いられた。私は休日は朝から出社し、コンピューターを独占使用した。スト中にそれを行い、スト破りと吊(つる)し上げられたこともある。その労組は地元の祭りの日には必ずストを打つほど融通が利いた。

 当時私はアメリカに憧れ、実際ボーイング社に職を得た。アメリカは天国に思えた。しかし同時に、日本の良さにも気付いた。バブル経済崩壊のころ、国外に出る仕事が多く、住むなら日本が一番と思った。いま年金生活者で、本欄執筆のため新聞を多く読む。その情報に基づけば、住む国は今も日本が一番と思う。

 しかし孫たちのことを思えば、日本はもっと伸び伸びした国になってほしい。そのためには優れた人材が要る。議員報酬の増額はそれに資するであろう。夜討ち朝駆けを好む記者氏は、きっと社会を活性化する。

 その中から格段の人材が現れることを乞い願う。優れたリーダーが国をよみがえらせた例は、史上枚挙にいとまがない。 (東京大名誉教授)

 「新聞から学んだこと」は今回で終了します。

 

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