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【NIE】

<学校と新聞>輪番制スクラップ 1時間かけ複数紙を読み比べ

「スクラップする記事を見つけるため、図書室で複数紙を読み比べた」という智裕くん

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 「そういえば輪番制スクラップが始まった当初、一時間もかけて新聞記事を選んだ生徒がいました」。図書室の智子先生が教えてくれました。

 「輪番制スクラップ」は、現任校で昨年度から始めた新聞学習です。毎日、各クラスの生徒一人が当番となり、昼休みに図書室まで新聞を取りに行ってスクラップする記事を選択。共有のスクラップノートに記事をはり、記事の要約、選んだ理由、感想、を書いて翌日提出します。一人で一ページを担当、出席番号順で実施しています。

 当初はスムーズにできるか心配でしたが、取り越し苦労でした。智子先生によれば、どのクラスも毎日忘れずに図書室に来て、新聞を選んでいるようです。書き方やまとめ方の指示は全くしていませんが、当番は、クラスメートの文章を参考に取り組んでいるようです。文章力が向上した子が数多くいます。

 まとめ方は各クラスでそれぞれ違いがあり、個性的なスクラップノートになっています。色を使ったり、枠で囲ったりと工夫が見られます。

 そんなスクラップ用記事を一時間もかけて選んだのは三年の智裕くんでした。なぜそんなに時間をかけたのか聞くと「五紙(朝日、産経、毎日、読売、東京)に目を通してみたら、あっという間に時間が過ぎてしまって。自分が本当に興味のある記事を探そうと思ったんです」という答えでした。

 選んだのは、ある新聞に載っていた戦後の東京を撮影してきたカメラマンの記事。「東京の変化に興味があって。銀座の昔ってどうだったんだろう、という自分の興味にぴったりでした」

 「一時間も記事を探した生徒は君が初めてです」と伝えると少し照れくさそうに、しかし、大きな声で「ありがとうございます」と言ってくれました。

 そんな智裕くんの投稿が昨秋、東京新聞の「若者の声」欄に掲載されました。将棋を通して人と関わり、自分の世界が広がる、という内容で「新聞を一時間もかけてじっくり選ぶ力は将棋で養われたんだ」と納得した私でした。 (公立中学校主任教諭・穐田剛)

 

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